講談社文芸文庫<br> 湯葉・青磁砧

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講談社文芸文庫
湯葉・青磁砧

  • 著者名:芝木好子【著】
  • 価格 ¥1,254(本体¥1,140)
  • 講談社(2022/02発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061982321

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内容説明

没落した幕臣の娘が、15歳で神田の湯葉商の養女となり、養父を助けその半生を捧げる名作「湯葉」。すぐれた陶器や陶芸家に魅せられる父と娘の、微妙な心の揺曳を抒情的に描く「青磁砧」(女流文学賞受賞作)。男に執着する娼婦上りの女の業に迫る「洲崎パラダイス」。「青果の市」で芥川賞を受賞した著者の、中期を代表する3篇を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

じいじ

89
『花霞』『冬の梅』から三冊目の芝木好子。目当ての【洲崎パラダイス】を含む三つの中編集。終戦間もなく、娼婦(主人公)が客を連れて深川・洲崎遊郭に隣接の歓楽街に逃げ込む。甲斐性なしのダメ男と分かっても、未練を断ち切れないのは女の性なのか、とても切なく遣る瀬無い気持ちになる。しかし、この主人公から生きることへの強かな女の情念を感じます。芝木さんの描く女性(共感できない女もいたが)の心の強さに魅かれます。字数がないので割愛するが、他の二編も味わい深い良作です。次作は『隅田川暮色』『雪舞い』の長編を積みました。2019/08/24

やどかり

10
情景が目に浮かぶような表現、そして美しい日本語に芝木好子の世界にすぐ魅入られてしまった。どれも短編だが、登場人物の内面までよく描かれていて深い作品だった。「湯葉」を読むと自分が蕗に成り代わったようにこんな職人の世界へ入ってみたいと心惹かれるし、「青磁砧」では陶器に魅せられた親子に影響され、一生物の陶器に出会ってみたいと思うし、短い時間で本の世界に入り込める作品たちだった。「青磁砧」の父と娘の微妙なやりとり、年頃の娘を持つ父の不器用な愛情がいいな。2013/04/27

tama

6
図書館本 初読みの著者 30年前に逝去され、生きてたら100歳。にも拘らず、瑞々しい文章!三篇収録だが何れも女性達が元気。漫画的元気でなく現実味がある。男性陣はしょうもないのが二人。青磁砧のお父さんは著者の理想とする男性像なのでは?このお父さんの焼物を購入する姿勢に共感。自分の目と感動を信じ自分の儲け、買い叩きせず購入は作者の仕事に加担することって素晴らしい!最近じゃあまり見ない漢字や読ませ方に多少苦労したがよいペースで読了。恐らく私の新しい鉱脈発見。2023/01/27

つぶつぶ

3
34年前、県立高校の入試問題に、蕗さんがはじめて湯葉を食べる場面が使われていました。娘が高校受験の年になり、あの湯葉の話は何だったのかきになり、作者名などは全然わからなかったけど、GoogleとAmazonのおかげで蕗さんと34年ぶりに再開できたのです。問題文の後の蕗さんの人生は波乱万丈、こんな重い物語から抜き出した希望に満ちた一場面を沢山の当時中学三年生が読んでいたのですね。おばあさんになった蕗さんが家族に大切にされていて、秋津さんも多分幸せな結婚をしたようで、本当によかった。2017/01/10

アメヲトコ

2
「湯葉」「洲崎パラダイス」「青磁砧」の三篇を収録。どれも佳品ですが、なかでも「青磁砧」に描かれる、美への追究、老いと若さ、父と娘の不器用な愛情が心打たれます。2016/04/30

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