内容説明
2015年本屋大賞2位!作家10周年作品。
両親の離婚、そして帰国。母の実家のそばに住む母子三人は、次第にバラバラになっていった。
母は頻繁に恋人をつくり、サッカーに興じる歩は高校で同級生の須玖に影響を受けていく。姉は、近所に住む矢田のおばちゃんが宗教団体の教祖のように祀り上げられていくなか、次第にそこに出入りするようになった。
そして、阪神淡路大震災が起こった。それは歩の生活にも暗い影を落とし、逃げるように東京へ向かう。脳が蕩けるような学生生活を経て、歩はライターになった。だが、その先で、ある取材を依頼される。そこには変わり果てた姉が絡んでいた。
(底本 2017年10月発行作品)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
347
エジプトを後にし、中学、高校、そして大学へと進んでいく歩の青春を見るこの作品。そこには、『サトラコヲモンサマ』にまつわる物語や、そんな物語の犠牲にもなっていく貴子の浮き沈みの人生が、歩の人生の”陰”になるように描かれていました。”阪神・淡路大震災”などの描写によって、時代感を上手く作品に取り入れたこの作品。『新興宗教』の怪しさをこれぞ関西的なオチで上手くまとめていくこの作品。歩の人生を描いていく物語であることが、中巻になってよりはっきりしていく展開の中に、読者を飽きさせない西さんの構成力が光る作品でした。2023/02/06
ゴンゾウ@新潮部
135
中巻になっても勢いは全く止まらない。ぐいぐい引き込まれる。家族ってなんだろう。生きるってなんだろう。愛するってなんだろ。そんな言葉を浴びせ続けられているようだ。 全く予測がつかない展開。歩、もっとしっかりしてくれ!2018/10/14
TAKA
132
サトラコヲモンサマ。いやいや遂にお姉さまは神の使いになられたり、巻き貝になられたり。歩も高校生になりモテまくり大学生になりヤりまくりフリーライターとなり前途洋々になるはずだが。須玖のあっという間の退場は物足りなかった。疾走感半端ないくらい読むのが楽しい。矢田のおばちゃんの告白は姉ちゃんも引きこもりから一気に目が覚めるわな。歩は一体何をしたいのか、どう生きたいのか迷走し下巻へ2021/06/03
Apple
131
まさしく起承転結における転にあたるような、激動がみられた一巻でした。バラバラになってしまった家族が、この先どうなって行くのか、気になります。それにしても、主人公・歩は(上)では受動的な立場を貫いていて無感情な人物に感じもしましたが、高校・大学という多感な時期を経て感受性豊かというか感情豊かな面が出てきて良かったと思いました。2022/02/12
つぼ
123
登場人物のそれぞれの人生に引き込まれつつある。どうなるんだろう?下巻が楽しみ。2017/12/04