内容説明
大学院で社会学研究科を目指して研究を続けている大学四年生の勝山裕。卒研グループの飲み会に誘われた彼は、その際に出た都市伝説に興味をひかれる。上州の村では、二重丸が書かれた紙がいたるところに貼られているというのだ。この蛇の目紋は何を意味するのか? ちょうどその村と出身地が近かった裕は、夏休みの帰郷のついでに調査を始めた。偶然、図書館で司書のバイトをしていた昔なじみの飯山香織と出会い、ともにフィールドワークを始めるが、調査の過程で出会った少年から不穏な噂を聞く。その村では少女が監禁されているというのだ! 謎が謎を呼ぶ。その解明の鍵は古文書に……?下巻へ続く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
71
群馬で二重丸を描いた紙が村中に張られているという奇妙な場所がある。読み始めた時は都市伝説と奇妙な風習の背後にある村の秘められた闇を探る田舎ホラーが合致したような感じだったが、その後の調査は極めて地味で足が地についたもの。もうちょっとおどろおどろしい物を想像していたけど、これはいわば史学ミステリ、もしくは文献学ミステリといったところか。ただ上巻は学術知識やデーターの集め方、史学の方法論といった学問的なアプローチが主となっていて、思ったのとはちょっと違う感じ。京極ならこの知識が事件の雰囲気高めるのだけど…。2022/02/22
眠る山猫屋
69
寡作な方だが、緻密な知的探求を読ませる力は流石。偶然からルーツを辿り始めた学生・裕。そして山奥で出会った少女を探す淳の道行きが交差する。奥利根という都会から遠くない場所に息づく因習。廃仏毀釈や本地垂迹を解り易く語りながら、語られない(無かった事になっている)歴史を様々な角度から突き詰めていく。裕をサポートする香織の明るさに救われながら、一歩づつ探求を進める物語は個人の非力さを少しずつ乗り越えていく。淳は後半で漸く裕たち助力者を得たが、暴走が心配。“まほり”はまだ一言も語られない謎のワードのまま。2022/03/19
アマニョッキ
48
文庫になったら絶対買おうと決めていた作品。単行本で読了済なので内容は知ってるはずなのに再読でもめちゃくちゃ面白い。社会学や民俗学に抵抗がなく、ほん怖や世に奇妙がお好きなら読んでみて絶対に損はないと思います。これ上下巻にする必要ある?って思ったけど、内容特濃なので一呼吸入れなっせ!ってことなんかな。わたしは一気読み必至。止められるはずないです。2022/02/15
えみちゃん
40
高田さん、実は初読みなんですよねぇ~。デビュー作の「図書館の魔女」シリーズ・・単行本で持っているのに何年も積みっぱなしなのよね。^^;民俗学ミステリーなんて言われたら読むしかないよね。この禍々しいカバーからひょっとして怖い話?なんて思いつつ読み始めたワケですが・・。大学院進学を目指す裕は飲み会の席で耳にした都市伝説?まがいの話に興味を惹かれる。町のいたるところに貼られている二重丸の紙の意味を調査すべく地元に戻って調査を始める。偶然図書館で再会した香織の伝手を頼りに調査を重ねていくワケですが・・。いやぁ~2022/02/05
三代目けんこと
35
下巻へ。2022/06/06