内容説明
フィンクル=マグロウ卿から、孫娘の教育のために使う、画期的なインタラクティヴ・ソフトの開発を依頼された技術者ハックワースは、初等読本を自分の娘のために不正コピーした。だが、そのコピーは、ある事件をきっかけに貧困にあえぐ薄幸の少女ネルの手にわたってしまう。プリマーをめぐり、さまざまな人々の思惑が渦巻くなか、やがて、ネルは驚くべき冒険の旅に出る…物語が世界を変革する物語、新世代のためのSF。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
わたなべよしお
23
なんとも魅力的な世界なんだけど、ストーリーとしては、よく分からなかったというのが正直なところかな。 なのに、次作のクリプトノミコンだったか、を読んでみたいと思わせる。構築された世界は勿論ネル、ミランダら登場人物たちも忘れられない印象を残したからかな。2022/10/10
em
16
主人公の少女に寄り添い、導いていく本型デバイス〈若き淑女のための絵入り初等読本〉が秀逸。反骨精神を備えた人格形成を目的として作られたこのデバイスが、教育用にしてはダークな(グリム童話的)世界観を持つというのにも惹かれる。道徳や成長というテーマにも関わらず、物語内のナノテク文明が生み出すものの是非について、最後まで押しつけ感があまりないのが考えさせるところ。もやっとした、でも悪くない後味が残っています。2018/08/21
もち
14
「忘れないでいてくれるかい、ネル?」◆「初等読本」で学んだ三人の少女は、成長し、異なる道を歩んだ。ネル以外には「あの」存在が欠落していたからだ――。開発者による「錬金術師」探しが決着すると共に、上海中を巻き込んでの大破壊が勃発する。■少女、読本、開発者、演者、プロデューサー等、様々な人物の視点で物語は進む。仮想と現実がリンクし、あの仕掛けとこの仕掛けが重なり――と怒涛の展開。作り込まれた世界観で、ネルの冒険はアクロバティックな結末を迎える。2021/07/18
餅屋
10
読むべき一作▲ハックワースが開発した対話型ソフトは世界を変革する▼ソースをMCに投入すれば、あらゆる物質、食料すら精製できる未来。フィード支配は停滞するデフレ社会を生む。解放と革新技術シードを巡る争いは、20世紀の半植民地的な構造を想起させる闘争へと発展する。コヨーテ王に鍛えられ成長したプリンセスは、共通の教育基盤を武器にマウス軍を率いる。ドラマーは身体的ネットワークで結ばれ、スマート演劇は観衆を魅了する。進歩に至るには、ドライ/ウェットネットを制する力しだいと見たが、あなたなら、どう読む?(1995年)2026/04/29
Pustota
7
これまで名前だけチラッと出てきて、詳しく語られなかった様々な部族の特徴がわかり、世界の広がりを感じさせる濃密な後半戦だった。技術が発達して社会が大きく変わっても、人の成長には誰かの愛情が欠かせないのかもしれない。様々な要素が絡み合って描かれるのは、文化のダイナミズムのようなものなのだが、複雑で壮大で、一度ではまだまだ捉えきれないように感じた。いつか再読する。2022/03/21




