内容説明
「罪を犯した人、非行に走った人を助ける仕事というものは、市民としての善意と専門家としての倫理観や技能に依って立つものであり、正しく善く、人の役に立つ愛他的な行為である――これは、どこまで本当だろうか」
逸脱と不適応から帰結した罪を見つめようとする加害者たち、みずからの価値観を問い返しつつ彼らと対話する臨床家、仲間との対話・多職種との協働・スーパーヴィジョンを通じてポジションを相互検証する専門家集団――交差する3つの観点を手がかりに、逸脱、適応と不適応、事件と罪、加害者臨床における契約の意味、問われる援助者のポジション、仲間・異業種との連携、スーパーヴィジョンの方法論まで、加害者臨床の本質に迫る実践レポートにもとづく臨床試論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Z
7
実践というほど実践ではないと思うが、優れた著作だと思う。犯罪に関わった者に対する臨床であり、①本人は臨床を望んているわけではのないこと②施設を出るまでという限定された期間を対象とするため、臨床の期間が精神医学や精神分析と異なり、十分とはいえない点に独自の点を感じたが、その中でもこの本に書かれる臨床に関する著者の基本態度は他の臨床形態でも通用するよう一般化されたものだと思う。「師匠は同じ分野の人間である必要はない」など、知に貪欲な人間しか出てこないだろう。2023/08/08
木麻黄
3
p208「以前担当した対象者が,再犯により再び自分の勤める職場に入ってくることがある。正直に告白すると,筆者は再犯を悲しく残念に思う一方で,彼らに再会できたことを単純に喜んでいる自分を見つける。これについて神田橋は,『共感の関係』だとかつてコメントした。」。この場面は,とある学会の質疑応答の際に,神田橋先生と筆者の質疑応答の中で交わされた場面ではないでしょうか。当時私はその場にいたのですが,その時のやり取りは今でも鮮明に覚えており,時に後輩らに語ることがあります。だから,すぐに分かったのである(ドヤッ)。2021/10/08
イカ
3
先日読んだ『刑務所しか居場所がない人たち』は、受刑者をとりまく環境(障害、生育環境など)に重点が置かれていた。何でも自己責任として引き受けるのではなく、他人や環境のせいにすることも必要な場合がある。受刑者の言い分に耳を傾け、受け入れ、肯定することも大切なことだ。 しかし、それが行き過ぎると、その人の主体性が軽んじられることにもなりかねない。その人は一方的に助けられる人、憐れむべき人ということになり、加害者であるという事実が薄められむしろ被害者のように扱われてしまうことさえある。2021/03/04
煮卵
1
最初の職場で出会った先輩の本。自分は今は別の世界にいるけど(門本さんも満を持して研究の世界に転じたようだ。)、司法関係者も必読だと思う。素敵な人が書いた真摯な本。とても専門的だけど、平易に書かれた本。
言いたい放題
0
半永久保存版2023/07/23
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