内容説明
建築は、時代と人々を映す鏡である――日本で近代建築が始まって約100年。この間、数多くの建築が作られ、また破壊・解体されてきた。本書では、半世紀以上にわたり専門誌・書籍の編集に携わってきた著者が、ル・コルビュジエから丹下健三、磯崎新や隈研吾まで、現存するモダニズム建築の傑作50を選び、写真やエピソードとともに徹底解説。戦前から戦後の高度成長期、さらに現代まで流れる建築思想をたどる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ykmmr (^_^)
113
作者自身の「建築研究・探求」の集大成。磯崎新氏や安藤忠雄氏、ル・コルビジェなどの著名な方から、マイナーな方まで、著者が吟味した建築物のうんちく・美観が描かれている。もしかしたら、多少の主観もあるかもしれないが、著者の建築物に対する想いや探求心は人一倍である。2022/05/30
trazom
107
この著者の「近代建築の楽しみ」というブログが抜群に面白い。この本もまた、飛び切り上等。「近代建築」とは煉瓦造の洋館でもモダニズム建築の意味でもない。ル・コルビジェ的なモダニズムとの距離の取り方に悩みつつ辿った道のりとしてのベスト50である。さりげない裏話にホロっとなる。前川事務所の一員だった頃の大高正人・中田準一両氏の功績を評価したり、林昌二さんの紹介でそっと妻・雅子さんに言及する。丹下先生の香川県庁舎の小梁の美しさの陰に、宮大工に作らせるほど精巧なコンクリート型枠があったこと等、現場への眼差しも嬉しい。2022/07/07
HANA
71
主に50年代から現在までに建てられた建築物の中から、50程を選んで紹介した一冊。個人的に近代建築、特に現在の建築物はコンクリート打ちっぱなしや効率主義を目に見える形で示されてるようで、情味を感じず前近代の建築物と比べて苦手なのであるが、そんな自分でも本書によってわずかなりともその魅力の片鱗に触れれたような気がする。いずれも公開されている事が基準となっているので、中に入る事が出来るのも良し。見たことがあるのは「広島平和公園資料館」「京都駅」くらいであるが、近場に幾つかあるので、落ち着いたら見て回りたいな。2022/02/19
コーデ21
29
昨年5月に開催された講演会「東京・丸の内で学ぶ日本の近代建築」に参加したおり小川氏の講演をお聞きして、その柔らかな語り口に魅了されました。本書は戦後日本の優れた建築の中から小川氏の主観によって選ばれたベスト50(見学済は20)写真や竣工年設計者等はもちろんのこと、建物を巡るエピソードも豊富な良書☆ 近年、名だたる近代建築が取り壊されることも多いので、今のうちに早く見て回らねば~💨2023/01/11
おいしゃん
24
50それぞれの建物に、たくさん写真が添えられているので、本の中だけでも楽しめるし、それぞれ現存するので見に行くこともできる優れものな本。薄い新書なので本を片手に見に行っても邪魔にならず、しかし内容は厚く、お買い得だった。2022/02/08