内容説明
携帯電話とインターネットが発展したナチスドイツ。第二次大戦が始まり、国家保安局NSAはデータをすべて監視していたが……!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばたやん@かみがた
104
《これは、借景文学じゃないかな》下巻はこれからだが、そんな思いが拭えない。まさか、現代ドイツ人にとって最大のトラウマになっている時代(それ故、日本人以上にバグを引き起こす因となっている)についてそれだけで済ます筈がないと思うのだが。IT技術(電子レンジも家庭で使われているので電子技術全般?)のみが異様に進歩している歴史改変された世界におけるWW2前と最中のドイツ。道具立てとしてユダヤ人迫害、東部での絶滅戦、脱走兵や白バラ事件などを巧みに織り交ぜながら、国家による監視技術を担当する男女それぞれの(1/)2022/06/21
小太郎
41
なんと大好きなSF歴史改変物で積読本でした。厚さそれも上下巻、それになんだか暗くて難しそう~に怯んで手が出なかったんだけど、ちょっと読んでみるとスラスラ読めてしまいます。これは翻訳素晴らしいですね。第二次世界大戦中にナチスドイツが携帯電話とコンピューター(それもインターネットまで)を開発したらという設定なんだけど本当にあったエピソードなどを巧みに混ぜ込んで伏線が張られています。人物キャラも立ってるし、話のテンポも良いしこれからどうなると~下巻へ。★42023/06/10
星落秋風五丈原
38
イギリスの数学者チャールズ・バベッジは、世界で初めて「プログラム可能」な計算機を考案したと言われる。その計算機とは現代のいわゆるコンピュータだ。1991年、バベッジの本来の設計に基づいて階差機関が組み立てられ、完全に機能した。バベッジのマシンが当時完成していれば動作していたことを証明した。では彼の考えがどこかで実現していたら?本書はそんな改変歴史世界のドイツが舞台の物語だ。2022/02/05
cupcakes_kumi
38
前評判がよく、期待に胸が躍った。海外モノばかり読むので、外国人の名前に苦労したことはなかったが、今回ドイツ人の名前に一瞬ギョっとした。…大丈夫かな、私?と。その心配は押し寄せてくる面白さの前に杞憂に終わる。カメオ出演のように歴史上の有名人がたまに登場するシーンは単純に楽しく、また戦時下のナチズムの加速後的に進む統制については、戦慄が走りつつも興味深かった。プログラミングや極端な民族主義をさておいても、スポットライトは常にそこにいる人間に当たっているため話を追いやすい。さて下巻下巻!2022/01/22
くさてる
32
第二次世界大戦中のドイツで高度なネットシステムが開発され、発展していたとしたら、という歴史改変SF。もちろんすべての市民の行動や情報が国家に監視されていることは予想できるのだけど、もっと恐ろしいことに、この世界のドイツは他の面では現実のドイツと変わりない指導者を仰いでいるということ。その世界でプログラマーとしての才能を開花させるヘレーネと己のアナリストとしての技能を歪んだ性癖を満足させるために使うレトケ、二人の運命を描く物語、とにかくやめられずに読み進めました。感想は下巻にて。おすすめです。2022/05/15