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内容説明
フランスで5万部を売り上げた、「怒れる経済学者」警世の書
「経済学は科学ではない」、なぜなら、ノーベル経済学賞を受賞した二人の経済学者が、まったく同じデータから正反対の結論を導き出しているからだ――。政策決定を理論づける主流派の経済学者は、疑い得ないものとして経済の「常識」を提示するが、それは特定の時代の特定の階層に利する「歪んだルール」に過ぎないことを、著者は確かな論拠と具体的な数字で明らかにする。新自由主義者たちが声高に主張する「常識」を疑い、より良い社会に向けて議論するための『足場』をつくる一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
R
42
もてはやされている「経済学に基づいた」というものの嘘、欺瞞を憤慨弾劾する本。経済学が示したものが、何一つよい結果を生まず、その後に検証されることもない、科学とは似て非なるものであると喝破して、為政者や、階級堅持を支持するものたちが、それを確約する方便として利用する、利用されやすい理論めいたものを紡いでいると、現代社会資本主義に対して、経済学が寄与した悪徳のようなものをあげ連ねていた。格差を広げるための活動を支える技術、それが経済学であると読めた。2022/07/04
白玉あずき
26
新自由主義やらIMF、自由貿易等、経済成長の為に必要とされる政策と信じられて来た全ての「常識」を否定する内容。口に合うのでウキウキ読ませていただきました。感情優先の自分を自覚してはいますが。巻末解説は白井聡氏。2月12日江藤農林水産大臣談「価格操作は国がすべきことではない。価格は市場で決まるべきものだと思います。これは農林水産品に関わることだけではなく、すべてのものは自由経済のもと、市場で価格が決まるべきものです。」 まったく賛成できません。このような市場原理主義がまだ生き残っている事に憤慨しております。2025/02/13
まゆまゆ
14
そもそも経済学は明白な結果を伴う中立的な科学ではない。あくまでもモデルの一つであって、それが全てに有効ではないことをあらためて知らしめる内容。現在の主流派になっている新自由主義もかつては有効だったとしても、今もそうではないことは既知のとおり。改革といっても誰かが他の誰かよりも多く利益を得ていることは歴史が証明している。2022/02/14
むっち
5
もっと読まれて良い本なんだが……。昔、大学でマル経(マルクス主義的経済学)を学ん出いるときはマル経こそが経済学だった時代は80年には終わりを迎え、もはや近大経済以外は経済ではないかのような様相だと思える。数式のない経済学なんてありえないかのような扱い。しかし、数式を扱っていかにも科学的な装いをとっても、仮設の検証もないまま、「中立な経済学の理論にもとづく政策」経済の失速とと社会保障の後退を招いているのに、政治家は責任をとらず経済学者は根拠のない常識をかたる。その結果が格差と貧困の広がりだ。2022/12/12
Book shelf
4
経済関連でこれまで読んだ本の中でもかなり面白く分かりやすい内容。経済は生き物であって明白な答えを導き出せる中立的な科学ではないという主張から始まり、そこから日本でもお馴染みの公的支出の削減のためなら公的サービスの劣化、民営化もやむを得ないという風潮にもっていくやり方を批判、それは結局国民の生活水準の低下を真似くと指摘する。また貧しい国がいつまでも貧しいという仕組みをIMFの実態を例に明らかにする。身を切る政策が人気の政党もありますが、ほんとに大丈夫なのかという目を養う一歩になりうる本です。2022/06/21
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