内容説明
歴史から教訓を得て、いまに活かす。「歴史に学べ」とはよく言われるが、それはいったいどういうことなのか。本書は日本史における六つのターニングポイントをたどりなら、歴史を学ぶ上で、重要な理論や視点が身につけられるように構成されている。歴史を読み解く目、歴史を考える頭、歴史を語る言葉。東大教授が教える歴史の本質がわかる一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
113
フランスの歴史家ミシュレは「しっかりした知識の上に立つ想像力こそ歴史を語る上で必要」という。この言葉を日本で実践している歴史学者は本郷先生だけだ。皇国史観からマルクス史観へと長いイデオロギー支配を経験した日本の史学界は、史料主義という象牙の塔にこもり「歴史を通じて日本人の来し方行く末を考える」ことを拒む。教育界も受験重視で迎合した結果、歴史は暗記科目と化し面白さのかけらもなくなった。そんな状況を打破し物語性を導入することで、現代を生きる上での必須教養として歴史を学ぼうと呼びかける。そんな時代が来てほしい。2022/05/14
チャーリブ
40
アベマテレビで著者は高校の日本史の授業が暗記科目になっていることを批判していた。鎌倉幕府の成立が何年かなど覚えても仕方ない。むしろ鎌倉幕府の成立とは何を意味するかを考えることの方が重要だという趣旨だったと思う。本書もそのような考えに基づいて書かれている。面白いなと思ったのは、著者が史実偏重の歴史学を批判して「歴史観」まで射程に入れた歴史学を目指していること。それは「大きな物語」を創ることであり、そのためには血の通った人間のドラマを想像する力が不可欠である、と私は勝手に理解したのだが。○2022/06/17
金吾
31
資料と資料の次間を考える楽しみが伝わるp121の言葉が大変印象的でした。他の本郷さんの著作と被る部分は多かったですが面白かったです。2025/11/23
謙信公
23
日本史の6つのターニングポイント、日本という国家が始まった壬申の乱、武士の世が芽生えた平将門の乱、武士が執権を握った鎌倉幕府等々を、史料に基づき、物語風に解説。歴史を学ぶとは、過去を振り返りながら、現在の置かれた状況を理解し、未来に向けてどう行動すべきかを考えること。史料と史料をつなぎ合わせ、様々な解釈を突き合せて組立を考える。どうしても出てくる欠落部分には、ある一定の物語性のようなものが重要になる。著者はそれを実践し、史料至上主義を徹底批判する。歴史は面白い。実に楽しい。誰でも歴史を考えることができる。2025/12/22
ta_chanko
21
古代史における朝廷(関西)と東国(関東)、中世における権門体制論と東国国家論、近世における朝廷と江戸幕府の関係、幕末における天皇の復権、戦前の皇国史観と戦後の唯物史観…。一口に日本史といっても、視点を変えることでいろいろな見方ができる。史料に忠実であることも大切だが、それだけでは物語や歴史観が出てこない。想像し考えることが歴史の醍醐味。我々はどこから来て、どこへ行くのか。2022/04/19
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