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内容説明
『少年の日の思い出』『車輪の下』など青春を描いた作家として知られる文豪ヘッセが、生死病苦をテーマにエッセイ、詩を綴る最晩年の作品集。老いにたどりついた者だけが知ることのできる、秘かな悦びと人生の煌めきがここにある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コニコ@共楽
24
ヘッセのむずかしい顔が表紙になっている。いわゆる若さを感じさせる表情はそこにはない。でも、彼の言葉には、みずみずしい力があり、成熟を感じさせる。はじめて読んだヘッセの詩にも、老いや死をテーマにしたものが多いのに、悲観的な感じを受けなかったのは、すべて自然にとけ込む言葉のせいだろうか。好きなエッセイは「ニーナとの再会」、好きな詩は「老人と両手」。目に見えるものの中に目に見えないすべてを見る彼の洞察に驚かされる。2021/04/30
ゆきえ
13
73歳の方と深くつきあっている今、この本はいろいろ考えさせられた。はー。成熟したいな。私もどんどん年を取っているのだ。2017/02/17
ゆきえ
13
感動した。じっくり読んで、かみしめて、味わって。「おまえの遊びを遊べ さからうな/しずかになすがままにまかせよ/おまえを吹きちぎる風のままに/吹き飛ばされて家に帰るがよい」”枯葉”より これは忘れたくない。最近はヘッセを読んでいるときがいちばん幸せ。2013/11/14
テツ
7
老いても新しく思考することを止めず、感受性を鈍らせることなく研ぎ澄ませ続けたヘッセ。ヘッセがその全ての著書を通じて言いたかったことは「自分であれ。そして自分という存在を探求しつづけよ」という一点のみだと思うのだけれど、本人は流石にそれを実践しているなあと彼の老年期に入ってからの作品を読む度に感じる。世界を広く見つめそれを感じながら、この場所に今立つ自分という存在について思考すること。世界に対しての自分の存在、自分の心の在り方を探求し続けること。ああ。ヘッセの人生は求道者のそれと重なるんだ。2015/07/10
みき
5
瑞々しい言葉で毎日のことを切実に、誠実に述べるというシンプルなことがこんなにも感動させられるとは思わなかった。老齢になるということはそれまでをながく生きてきたことだと、実感とともにわかる。2017/07/25