内容説明
「食べる」という日常生活を取り囲む社会的・経済的・政治的な背景を解きほぐし、不安とリスクコントロールを迫る科学言説の問題性に切り込む。食の安全・安心をめぐるリスクコミュニケーションの限界と可能性を照らし出し、食をめぐるリテラシーを提言する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
matsu
7
リスク抑制食品に対しては永遠のゼロリスクを追求させる反面、リスク増加食品に対してはゼロリスク指向を禁じる。これらはけっして科学の言葉ではない。統治のための政治的メッセージであり、政治性は科学の名のもとに隠蔽されている。科学を相対化することで権力の作用が見えてくる。2016/09/23
もっち
6
リスクを食べるというタイトルだが、つまりリスクコミュニケーションをメタ的に見るというお話である。リスクを負う「市民」とは何で、どんなメディアに媒介され、言説がどう変化していくかを問うている。確かに示唆に富む議論だが、あまりに難解すぎる書き方をしている部分がある。ルーマンやムフの議論を持ってくる意味がよく分からない。2017/06/04
前田まさき|採用プロデューサー
5
我々のまわりには「食をめぐるリスクと科学言説」があふれている。それら言説がいかに生まれ、人びとに影響を与えているか(ある食べものを食べたり/食べなくなったり)、考えてみようという本。食というポピュラーなテーマのわりに内容難しめ(社会学の基礎知識、もっというと社会学的文脈における「リスク」や「コミュニケーション」の理解がないと読み進めるのはキビシイかも…)。本題とは逸れるけれど、コミュニケーション論的に考えて行き詰まったらプラグマティズムを参照してみる(pp.237-239)というアプローチは参考になった。2020/01/25
ぷほは
3
「リスク」と「コミュニケーション」は20世紀後半、国内の事情も踏まえれば80年代以降の社会学の最重要バズワードだが、それに「食」という21世紀の最重要課題の一つをテーマにして挑んでいる。データのボリュームや先行研究への目配り、事例の面白さや展開の妥当さなど、どれも高水準な成果であり、コレを真似してみろと言われてもなかなかできる気がしないのが正直なところではある。それを踏まえて難点を言わせていただくと、理論・事例ともに噛み砕きが弱く、括弧や濁点を多用した冗長な文体は、科学的にも一般書としても感心はできない。2016/12/31
TETSUYA
2
私たちにとって食べるということは明らかに、単に生物として物理的に身体と生命を維持するということだけではなく、栄養の摂取によって健康をいかに保つかということだけでもない。どのような社会的背景があり、どのような政治的意味を持つ(可能性がある)行為であるかについての考察が非常に重要であることがわかる。-- ということで、「食の社会学」として色々な言説や社会状況等について考察している本書。かなり面白いです。2016/10/23
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