内容説明
夫と子供との単調な日々に、何とはなしの不安と焦躁を感じる乃利子は、投稿を通じて知った雑誌記者との情事に奔る。英子は囲われものとしての生活に疑問を抱きはじめ、優子は浮気な夫との離婚を決意するが……。体の奥底から溢れ出るような愛と性の衝動に揺りうごかされて生きる女たちの歓びと痛み、心の顫えを、精妙な筆致で浮き彫りにして、愛とは何か、結婚とは何かを問いかける。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たかこ
5
初期の瀬戸内作品を何作か読んで完全にはまる。30年程前に書かれた作品だけど、中からほとばしる色が鮮やか。さすが子宮作家と言われただけのことがある。女の性をこんなに深く愛情をもって、色鮮やかに書けるなんて、、あの瀬戸内寂聴さんにこんな時代があったなんて、、、と驚くことばかり。長女の安澄の情の深さと潔さ、次女優子のお嬢様から独り立ちするところ、三女乃利子の憂鬱、四女燿子の母(安澄)との確執と独り立ち。どれも欠かすことのできない、女の性がみっちり桐の箪笥に詰まったような作品だった。2016/08/14