内容説明
子どもたちの「学校に行きたい!」を支えて――バングラデシュで長く学校づくりに取り組んできたNGOの活動を,日本からの参加者・現地の生徒たちの生の声とともに紹介.支援する側・される側ではなく,たがいに当事者として「協働」するパートナーシップのあり方を考える.共に歩む未来をつくる,これからの国際協力とは?
目次
はじめに┴第一章 変化するバングラデシュと教育┴バングラデシュの成り立ちと国土,民族,宗教┴変化するバングラデシュ―経済発展の表と裏┴バングラデシュの教育制度┴就学率のめざましい向上の光と影┴MDGs優等生としてのバングラデシュ,SDGs達成に期待されること┴第二章 「学校に行きたい!」を支える┴寺子屋を贈る活動が始まった┴この呼びかけに応えて┴お母さんたちも学び始めた┴青空教室からレンガ校舎へ┴学校での学びが子どもたちを変えた,大人たちをも変えた┴なぜ学校に行けない子どもたちがいるの?┴職業訓練校も始まった┴スタディツアーで交流を深める┴ACEFに関わって┴第三章 国際協力が人を育てる┴BDPの卒業生たちはいま┴スタディツアーに参加した日本の若者たち┴スタディツアーから子ども支援の道へ (小野道子)┴スタディツアーから研究者に (西村幹子)┴第四章 SDGs時代に求められる国際協力とは┴垂直から水平へ┴ドナークライアントからクリティカルフレンドへ┴共通の価値を新たに作り出す┴今後の国際協力のあり方┴おわりに┴これからの国際協力を担う若い人たちへ (舩戸良隆)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
37
対等な関係性があってこその信頼であり、その信頼が協力を可能にし、共通の課題に取り組むことにつながる。参加型開発の提唱者の一人ロバート・チェンバースは開発を「良い変化」と大きく定義。その変化を決めるのは当事者と考え、専門家は促進者という(147頁)。私は、教師も生徒(学習者)の学習を促進するファシリテーターと思っているので、開発や学習は共通している。それは、発達や発展だからだろう。自発性が何よりも重要で、主体性を支える人でありたい。2024/12/21
Die-Go
37
学生時代に参加したことがある、ACEFのスタディツアー。それはその後の自分の生き方に大きな影響を与えた。バングラデシュは世界の中でも最貧国と言われる国ではあるが、そこに実際に行ったことにより、より身近な課題として、また逆に日本の抱える問題を知らないこととしてはすまされないように見方を変えられた。★★★★☆2021/06/05
コニコ@共楽
20
バングラデシュを中心に、国際協力、協働を行なって来た3人が教育の必要性を訴えている本です。その必要性は、支援される側へのものはもちろん、支援を行う方にも大事なものと力説しています。現代の地球規模の問題も、いろいろな視点、視野に立つことの大切さを訴えているのが印象的です。「その問題がどのような意味で問題なのか、それはそもそも誰が問題と決めているのか、といった根本的な問いを挟まずに、解決策を求めることは必ずしも良策にはつながらない」という言葉にはっとさせられました。2021/03/29
Ayakankoku
10
バングラデシュで学校づくりに取り組んできたNGOの活動紹介及び、スタディーツアーに参加した方々の声も紹介されている。 一方的に援助するのではなく、現地の方々自身も共に参加することの重要性も説かれていた。 また自分自信の生き方にもつながる箇所も発見! 自分がワクワクすることをやってみる。知りたいと思ったら行動する。 世間体に左右されない生き方を模索する。 本に書いてあった言葉を目にしながら思わずうなづいてしまった。2021/05/31
とある本棚
5
国際協力の入門書。日本のバングラ支援を行うNGOである「ACEF」の活動を軸に、途上国への教育支援が日本とバングラ双方の若者にどのような影響を与えているかを考察する。本書が国際協力の全てではないことに留意する必要があるが、国際協力とは何か知りたい、国際協力に興味はあるが踏み出せない、という思いの人に薦められる。最終章でややアカデミックな観点から国際教育開発の現況に触れられているのも有益。国際協力に関心のある学生は、まずはスタディツアーに行くことから始めてみてはどうだろうか。2022/04/17