ちくま新書<br> ひきこもりの真実 ──就労より自立より大切なこと

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ちくま新書
ひきこもりの真実 ──就労より自立より大切なこと

  • 著者名:林恭子【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2021/12発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480074461

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内容説明

2016年春、東京で「ひきこもり女子会」が開かれた。訪れたのは、「介護離職を機に家から出られなくなってしまった」「男性のいる場に行くのが怖い」という、ひきこもりの女性たちだ。「主婦」や「家事手伝い」に分類されてきた、「見えないひきこもり」が可視化された瞬間だった。ひきこもりには女性も性的少数者もいるし、困窮する人も、本当は働きたい人もいる。そして、それぞれに生きづらさを抱えている。ひきこもり当事者の著者が、「ひきこもり1686人調査」と自身の体験をもとに、ひきこもりの真実を伝える。

目次

はじめに
第一章 ひきこもり1686人調査
「ひきこもり・生きづらさについての実態調査2019」
ひきこもりは外出しない?
ひきこもりは若い男性?
ひきこもりは楽?
ひきこもりは働きたくない?
親が裕福だからひきこもれる?
ひきこもりと性的マイノリティ
ひきこもりは何も考えていない?
コロナ禍におけるひきこもり・生きづらさについての調査2020
『ひきこもり白書2021』
第二章 ひきこもり女子会
1 女性のひきこもり
現代女性が受けるプレッシャー
女性のひきこもり・生きづらさについての実態調査
特有の生きづらさ
身体の不調や暴力の被害
介護するひきこもり女性
女性限定の当事者会
2 ある日のひきこもり女子会
「ひとりではない」と思える居場所
「ひきこもりUX女子会」とは
運営で工夫していること
ひきこもりUX女子会に参加して
3 全国で女子会を
自治体・民間団体との連携
広域連携女子会
自分たちで女子会を
オンライン女子会
今後の課題
コラム 女子会参加者・桐谷沙耶さん(仮名)インタビュー
第三章 画一的な支援の課題
1 調査から浮き彫りになった支援の課題
支援に傷つけられる人たち
支援を受ける側の声
どんな支援が良い支援か
2 これまでのひきこもり支援
就労支援じゃない
ひきこもりと事件報道
支援の流れが変わった
プラットフォームをつくる
ひきこもり当事者やその家族と支援領域のプラットフォーム「Junction」
3 支援者に伝えたいこと
まなざしと姿勢
「向き合う」のではなく「横に並ぶ」
支援はいらない、ほしくないという気持ち
ゴールは本人にしかわからない
就労支援は必要か
就労の何が困難なのか
やってみたい仕事がある
当事者活動にこそ支援を
「早期発見・早期介入」への違和感
アウトリーチへの危惧
4 安心できる「居場所」
なぜ「居場所」が必要か
いつでも戻れる「居場所」
「居場所」の課題
イベント運営などの際の工夫
コロナ禍における支援
5 自治体や地域に伝えたいこと
自治体に求める役割
求められる社会的な支援とは
男女共同参画センター横浜南の取り組み
大阪府豊中市の取り組み
第四章 私はなぜ
どのようにひきこもったのか
1 「不登校」のない時代に
〝良い子〟の転校生
教師や親との距離
荒れる中学が楽しい
入学式での予感
あらゆる身体症状
「もうこの場にいることはできない」
高校中退
青春期内科、入院
通信制高校編入学と大検
2 人とつながる
大学も中退
不登校経験者との出会い
アルバイトを始める
カウンセリングを受けたい
3 自分と向き合う
母との関係
「私には自分がない」
家族との軋轢
あきらめるということ
学校への違和感
再びひきこもる
ただ、生きる
恐怖と息苦しさのなかで
4 二つの転機
自分だけじゃないかもしれない
「ひきこもりについて考える会」
八人目の主治医
親元を離れて
当事者発信開始
ひきこもりUX会議発足
今、思うこと
第五章 家族にどうしてほしいのか
1 家族とのかかわり
実態調査から見る家族関係
当事者に見えている世界
家族の関わり方
2 親にしてほしいこと
ポジティブなメッセージを送ってほしい
NGワードとOKワード
「わかり合えない」から始める
本人のことは本人に聞く
親には親の人生を生きてほしい
親が変わると子も変わる
社会に目を向ける
本気で向き合うとは
家族支援の必要性
3 私と家族
父について
妹たち
兄弟姉妹について
コラム そのとき、妹はどう思っていたか
おわりに その船の舵はあなたのもの
付録1 調査やアンケートの自由記述
付録2 不登校・ひきこもり関連団体リスト

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆいまある

115
元ひきこもり当事者による本。後半、作者がひきこもりになった経緯が読ませる。当時、高松に住んでいて、その頃は進学校だった高松西高で不登校になったと推定される。家族は支援のゴールを経済的な自立にしがちだけど、死にたいと思いながら働くよりも幸せに暮らすことが目標。ひきこもりは元気が溜まりにくく、些細なことで元気タンクが空になるというのも実感として分かりやすい。多分自分で自分のことを責めるから。人から責められるなら兎も角、なぜ人はこんなに自分のことを攻撃せずにはいられないんだろう。参考になった。 2022/09/10

こばまり

42
ピアグループの在り方や運営方法についての記述も興味深かったが、第4章以降の筆者の体験談および家族へのインタビューが実に読ませる。今やこれだけ社会的な活動をしているにも関わらず、今後またひきこもるかもしれない可能性を危惧されていることに驚いた。2024/03/23

のんぴ

41
ひきこもりの人は地底に住んでいる。自ら地上に出ようと思わない限り、無理に引っ張り出すこともできないし、地上の人と同じリズムで生活したり、同じ達成感や気持ちよさを感じることもできない。どんな理由でひきこもり、どんな理由で地上に出ることができるかは、人それぞれ。社会の方がおかしいところもある。何とかしたい、生きていてもいいのかな、と思えることが重要。2023/12/28

白ねこ師匠

30
[★★★★‪☆/◎]長期間の引きこもりを脱して現在は引きこもり者を支援する団体を運営している著者が、自身の経験をベースに本当に求められる支援について考察する。第4章の体験談は赤裸々で、追い詰められた精神の描写が生々しく圧倒的だった。書き起すのも辛かっただろうと思う。第5章の家族の関わり方は非常に参考になった。妹氏へのインタビューも然り。「愛は負けるが親切は勝つ」を頭の片隅に置いて、距離を保って接したい。2024/10/26

Mc6ρ助

22
『問題があるのは本人ではなく、社会(学校)のほうかもしれない、という視点は必要だと思う。「ダメな人」を矯正し社会に戻すという発想ではなく、さまざまな個性や特性こそが強みで、それを活かしてもらうという発想がほしい。また、その人が、その人のままで生きられる社会を作っていくこともとても大切だと思う。(p109)』林真理子さんの「小説8050」がよくできた小説に過ぎないと教えてくれる。爺さまとしては昔はこうじゃなかったと考えてしまうのを止めることが難しい(若いもんはでなく、主に社会的要因を指して)、困ったもんだ。2022/03/18

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