内容説明
小鳥店を営む檀野家の平穏な日常は、突然終わりを告げた。息子が通り魔事件で刺殺され、犯人は自殺。地獄に突き落とされた父、母、姉の三人が、悲しみと怒りを抱えながらも足 き、辿り着いた先にあるものとは。次々に明かされる家族の秘密、ラスト20ページの戦慄、そして驚嘆の終曲。震えるほどの感動が待つ、著者渾身の飛躍作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
280
あなたは神を信じますか? 私たちは神聖家族になって、亡き息子と一緒に永遠の世界で生きるのです。父、母、娘、三人の視点で描かれる、宗教への戸惑い・盲信・疑念。信じるものは救われるのか? この多面的に宗教を捉える小説に、読者はやるせない心苦しさと、そこはかとない感動を味わうのです。そして、私は、少なくとも、読書が人生の糧となることを信じたいです。2022/01/10
starbro
274
川村 元気は、新作中心に読んでいる作家です。久々の新作は、家族とカルト宗教の物語でした。私は無神論者ですが、三大宗教の聖地、エルサレムを訪れたら宗教観は変わるでしょうか? https://bunshun.jp/articles/-/502712021/12/06
いつでも母さん
182
「良いことは神の御加護、悪いことは神の試練」確かに神は酷いかも・・だが、溺れる者は藁をもつかむとも言う。信じる者は救われる。救われたいのだなぁ。天国も地獄も、すべてここにある。と帯にある。そこはどこ?宗教とか、信仰心が織り込まれてる作品は正直苦手で、ラストに向かう数十ページは破壊しかなかった。2021/12/13
美紀ちゃん
123
被害者家族の悲しみが深い。息子を亡くした母の落ち込みが深い。何かにすがりたくなるのはわかる。悲しさに支配されてばかりではいけない。しかし、宗教はよくない。300百万円も持っていかれるのは、怪しまないと。 神様→ただの壁。 どうして生きることがこんなに苦しいのか、なぜこんな辛い目に遭うのか。 人は理不尽を壁に向かって嘆きながら、そこに神を感じるしかない。 と、隼太郎くんは言う。 「神」ごめんなさい。私はまゆつばって思ってる。 ラストの最上さんの狂気は怖くてドキドキした。 この家族は大丈夫。きっと。2021/12/04
やっさん
118
★★☆ 第一章はハラハラしながら夢中で読めたけど、それ以降は独特の世界観に置いていかれながら惰性で読んだ。狂気が加速して俗世から離れていくこの感じは、新興宗教の不気味さを後押ししているのかもしれない…。 2023/07/09