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内容説明
「ウンザリするポピュリズムに淫した民主主義より、能力主義的選抜を勝ち抜いた政治エリートの政治(中国!)の方がマシだ……。
この「誘惑」に抗う術はあるか。
実に困難な課題に本書は果敢に挑戦する」――宮台真司氏、推薦!
世界中をポピュリズムが席捲する中、わたしたちの民主主義はどこへ向かうのか。
人々は政党や議会には期待せず、時に自らの自由の制限もいとわずにトップの強いリーダーシップを望むようになった。
著者は古典から最先端の政治理論まで駆使し、選挙と政党を基盤にした「代表制」と民主主義とはイコールではないこと、現在の社会は「代表制」が機能するための条件を完全に失ってしまったことを明らかにし、一方で、中国統治モデルの可能性と限界も検討する。
民主主義を再生させるヒントはここにある。
目次
はじめに
第一章 民主主義諸国における社会の私物化
第二章 民主主義諸国における政治の私物化とその先
第三章 民主主義とは何か――古代と近代――
第四章 代表制度とは何か
第五章 行き詰まる代表制度とポピュリズム
第六章 代表制度の改革
おわりに
主な参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
60
タイトルは「民主主義の再生に向けて」でいいような気がする(「失敗」としてしまうと、全く異なるものへの変更につながるような気がして、本書の趣旨とは反する)。1980年代以降の先進国の代表制民主主義の退潮の原因を、脱工業化とそれにともなう新自由主義経済化と捉え、人々がエリート主義的な中国モデルに惹かれることを懸念して、民主主義の再生方法を探っていく。最終章にいくつかの先行事例を引き、日本での可能性に言及するが、日本の場合、かなり徹底的に民主主義的意識が壊されているという現実をどうするのかは見えてこなかった。2022/06/05
樋口佳之
55
人びとが中国モデルに誘惑される原因の一つに現在の民主主義への疑念や失望があり、それらの疑念や失望は代表制度の堕落に由来する。だから、代表制度を改革することは、中国モデルの誘惑に対抗するための最も現実的な取り組み/くじ引き民主主義本と似た問題設定の本。著者は全く触れていないけども、ポスト工業社会の代表制度をと構想する著者の立場からは、一票の格差是正と死票の徹底的な排除(比例代表制等)がまずは提起されても良さそうにも感じました。2021/12/07
Sam
47
フランシス・フクヤマが「歴史の終わり」を宣言したのが1989年。当時浅田彰がフクヤマとの対談で思い切りバカにしてはいたがそれでも民主主義以外の政治形態はもうあり得ないという雰囲気は漂っていた。しかしそれからわずか30年、いまや社会と政治の私物化により民主主義は危機に瀕し、自由と引き換えに豊かさと安全を提供する中国モデルが有力なオルタナティブとなってきた状況下でいかに代表制の有効性を取り戻し民主主義を守るべきかを論じている。少し冗長なところもあるがリアルな危機意識と具体的な提言を併せ持った良書だと思う。2021/12/14
jackbdc
11
米英的ポピュリズムか?中国的政治的メリトクラシーの台頭か?という二択を強いられるような現状の閉そく感への危惧は大いに同意。しかし本書の議論はなんとなく現実離れした理念上の議論に留まっている感じがする。やや物足りない。提言部分も個人的にはわざわざ制度改革をぶち上げずに現行制度で出来る事を地道にやりましょうよ、と思ってしまう。考えさせられたのは①工業化社会と②代表制民主主義の関係。著者は①の終焉に伴って②がもたなくなった論じていた。別の見方は無いのだろうか?所得水準や人口構成の変化の影響も強いのではないか?2022/03/06
スターライト
7
選挙と政党を基盤にした「代表制」と民主主義はイコールではない―その実態を民主主義の淵源である古代アテナイと近代のそれとをスケッチしながら、機能不全に陥った現代の民主主義の実態をトランプ前大統領に象徴されるポピュリズムにもふれつつ、民主主義再生のポイントを明らかにする。「私物化」をキーワードに社会と政治の私物化を論じた章では首肯することしきり。民主主義再生のヒントに、カナダとアイルランドを引き合いに出し、熟議と市民参加について語られるが、今の日本を見ていると仕掛けを作っても実効性のあるものとなるかは疑問だ。2021/12/10
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