内容説明
「時間も空間も自由自在に行き来して歴史を探偵する髙島先生。いつもは笑顔ですが、定説を疑うときになると眼が「キラリ」と光って、ちょっと怖いです。」(内田樹)
「創世神話」や「英雄伝説」には,荒唐無稽にみえるプロットやファクターから成り立っているものが少なくないが,その時代状況を分析することにより,そこに込められた深遠なメッセージが浮かび上がってくる.本書では,日本史上初めて人間を〈カミ〉に祀り上げた天神伝承をテキストとして,「七本松伝承」や「渡唐天神伝承」などにまつわる文献を丹念に辿り,読み解くことにより,意外な史実を紡ぎ出し,その面白さを伝える.
目次
序章 神仏習合と天神信仰(神仏習合の風景
反国家的な“カミ”)
第1章 大阪天満宮の「七本松伝承」(七本松伝承を読むために
大将軍社のメッセージ
「千」と「七」のメタファー
「松」のメタファー)
第2章 飛梅伝承と渡唐天神伝承(菅公愛梅説
「飛梅伝承」の変遷
北野天満宮の松と安楽寺の梅
渡唐天神伝承)
第3章 天神信仰と鶏・牛・柘榴(道明寺鶏鳴説話
柘榴天神伝承)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sora
18
歴史が好きです。最近、天満宮に行ってきました。それでこの本・・・。読み終えるに、なんと4日間もかかりました。心して読まないと理解できない内容でした。私にとっては・・・。2016/06/12
くまきん
1
おおよそ神話、伝説は荒唐無稽で「そんな事あるか〜い!」という話が多いけれども、それを単なる作り話ホラ話と捉えずに、そこに込められた深遠なメッセージを読み取ろうというのが本書の趣旨である。その題材として取り上げられたのが、日本史上初めて(歴史的に実在した)人物、菅原道真を「カミ」に祀り上げた天神信仰である。「七本松伝承」「飛梅伝承」などが何を示唆しているのか、何のメタファーなのかを解析している。この時代の出来事の記録は、記紀の神話時代よりもはるかに情報量が多いので、それぞれ納得出来るものがある。2017/07/23