内容説明
演出家、劇作家、俳優、映画監督、小説家とマルチに活躍する松尾スズキ、三年ぶり待望の新作小説。
放送作家見習いの「俺」は、十年間師匠と仰いでいた人物が自殺した日、映画館で偶然出会った女・スミレにいきなり結婚を申し込む。スミレは離婚したばかりだった。
することのない俺とスミレは、酒浸りの日々を送るようになる。
そんな中、俺を捉えて離さないのは、師匠が手首に入れていた矢印形の刺青のことだった――。
次々と地獄の扉が開いていくような男女の転落物語でありながら、どこかに人間存在を見つめる苦い笑いがにじむ松尾ワールドの真骨頂。
(本文より)
今、自分に必要なのは、人生をなめている女だ。
酔っぱらってくれ、俺のそばで。
あと一時間でもいい。一五分でもいい。
いや、今わかった。
俺には俺より酔っ払ってくれている人間が、隣に、必要なのだ。
もう、ずっとそうだったし、きっと今日からもずっと。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
洋
25
面白かった。酔っ払いほど酔ってないって言う。酒は怖いって知っていればこうはならないのな。酒が好き。酒は楽しいよ。2022/02/20
ふう
13
師匠と酒と妻と自分の物語。死ぬのはめっちゃめちゃ怖いけどこのまま生き続けるのも怖いと思い、長生きしたいけどあっさり死ぬのもわるくないなとも思いながらページをめくった。こういう矛盾を優しく感じさせてくれる松尾スズキが好きだ。大好きだ。終盤ちょっと息切れした感じがあったが、いかにも松尾スズキな最後の一文で綺麗に幕が下りた(って彼らのこの”ぬるい地獄”はずっと続いて行くのだろうけど)。「どうすれば、明日また一日を生き延びられる?」。せめて今日一日、できたら明日も生きているっていうのでいいかもな私も。2021/12/13
kane_katu
6
★★★☆☆松尾スズキらしい小説。なかなか面白かったんだけど、最後の方の展開はどうだったかなあ。2022/02/05
オールド・ボリシェビク
3
何だこれ? 松尾スズキ、自分では面白いものを書いたつもりなのだろうが、酷いね。自分で面白がっていることが、全然、伝わってこない。特に終末部分のぶっ壊れ方は、登場人物の壊れ方とシンクロさせているのかなあ。それにしてもなあ。途中、何度も放り出したくなった。2022/01/12
ミントン
3
ずっと松尾スズキが好き。これからも。2021/12/02
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