内容説明
〈南境ノ乱〉で破壊された町の人々がやっとの思いで手に入れた平和は、カラマーハ帝軍の侵略、そして大旱魃で脆くも崩れ去った。今や頭領になったハマーヌは、人々を救うため禁断の術に手を染める。一方敵の陰謀を逆手に取り、帝家の玉座を乗っ取ったラクスミィだったが、国を潤す青河が涸れ始めていることに気づく。このままでは乳海が露わになり、丹の暴発が起きてしまう。それを回避するには、南境の民が命の糧とする砂漠の水を断たねばならない。それぞれの民の命と希望を背負った、ハマーヌとラクスミィの決断はいかに……。三部作完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
37
十年前の乱で破壊された南境ノ町の住民がやっとの思いで手に入れた平和。国を滅ぼされた流浪の民と滅ぼした帝国の人々の想いを背負い、禁断の秘術を極めたそれぞれの長が戦いの場に挑む第三弾。軍の侵略と大旱魃に脅かされる状況で、人々を救うために禁断の術に手を染める決心をする頭領ハマーヌ。一方、カラマーハ帝国を乗っ取ったものの、青河が涸れ始めていることに気づくラクスミィ。重い真実を伏せながら民の命と希望を背負った二人の決断や、様々な人々が精一杯頑張った先にあった結末は、読み応えがあってなかなか読ませてくれる物語でした。2022/01/13
あおでん@やさどく管理人
23
比求式から丹を操る理論派のラクスミィと、式を用いない感覚派のハマーヌ。それぞれの思いがあったとはいえ、闇の秘術で「死」に立ち向かっていたという点は思った以上に似ていたと感じる。この物語における「丹」が、現実世界の物理学に重なっていく描写もあり、その点も面白い。2024/02/24
ちー
16
やはり、続編があったのか。読み始めるのに時間がかかり、ちょっと内容忘れかけてたけど、面白かった。収まるところにおさまってスッキリ。2023/01/15
タッキー
11
世界観やキャラクターが良くて3部作を楽しく読むことができました。前半はハマーヌが主人公。後半はラクスミィが主人公。相反する立場の主人公が前半と後半で入れ替わることで、どちらも応援したいけど、という気持ちになり、読む気がますます高まりました!どういう結末になるのか、不安でしたが、まずはハッピーエンドでよかったです!終わり方からすると、さらに続編がありそうなので、これからも期待です!2024/01/28
ときわ
10
前回では敵役のジーハ帝が残虐であるとしか描かれていないことが不満だった。ジーハ帝が退場した本作は、争う両者とも周りに伏せた真実があり、そうする理由があっての事なのだと読者には分かるので読んでいて苦しかった。その苦しさは小説に没入する喜びでもある。これちゃんと終わるよね?三部作完結って書いてあるもの。でもどういう形で?不安だったが読み切った。最後の方に出てきた「真実は誰も救わない。ただそこに存在するだけ。すべては受けて次第」すごく重い言葉だと思った。読んで良かった。出来れば外伝としてあと少し書いて欲しい。2021/12/29