内容説明
憲政史上初の女性党首・首班指名を受けた土井たか子,史上唯一の自民党総裁候補小池百合子.しかしいまだ首相はおろか女性衆議院議員は一割未満だ.男性中心の政治を変えようとしたマドンナ旋風そして「政界女風見鶏」,最も首相に近かった二人の対照的な軌跡から,コロナが炙り出した日本政治の弱点に切り込む.
目次
序章 「惜しい」二人 対照的な軌跡を追う┴第1章 神戸大空襲を生き延びて 戦後憲法を生きる少女┴第2章 法学者から衆議院議員へ 公害と安保と国籍法┴第3章 政治好きの「父の娘」 エジプト帰りのキャスターから政界へ┴第4章 「やるっきゃない」憲政史上初の女性党首 「女の時代」の「おたかさん」┴第5章 「山が動いた」マドンナ旋風と女性初の首班指名 燃え上がる戦後世代女性の情念┴第6章 社会党躍進の陰で忍び寄る困難 冷戦終結の激動の中で┴第7章 連立与党の衆議院議長として 三権の長に就いた初の女性┴第8章 社民党党首、そして落選 逆風と果たせなかった党内改革┴第9章 権力に寄り添う「政界女風見鶏」 日本新党から新進党、そして自民党へ┴第10章 防衛大臣をへて自民党総裁選出馬 ついに権力を争う主体へ┴第11章 小池都知事誕生 不遇の国政を捨てた勝負師の勘┴第12章 運命の「排除」発言、そして炎上する疑惑 期待を踏みにじった「緑のたぬき」┴第13章 コロナ禍と五輪 誰が人々の不安をすくい上げるのか┴終章 私たちは女性リーダーを育てることができるか 弱者の声を政治の声とするために┴謝辞┴参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てくてく
8
女性首相にもっとも近いところまで行った土井たか子氏と小池百合子(こちらはまだ政治家として現役だが)の政治家としての生き方などを分析することを通じて、海外の様な女性リーダーが生まれるためには何が日本に、あるいは日本の女性政治家に不足しているのかを考察している。真逆な印象を受ける2人だが、両者が不得手だとする党運営は世襲議員であったとしてもまだ日本では難しいかもしれない。それでも土井たか子氏が選挙に登場した時よりは女性の国会議員も増えているのだから、女性首相の登場を見るのはまだあきらめていない。2021/09/05
どら猫さとっち
6
小池百合子と土井たか子。首相にいちばん近い存在だった2人は、何故なれなかったのか。彼女たちの栄光と挫折をたどりながら、日本に女性首相がいないのは何故かを検証する画期的な政治論。小池百合子は、石井妙子「女帝小池百合子」で読んだこともあり、かなりあざとく強かなな面が鼻についた。土井たか子は、まともな政治観でまっすぐな方だったが、首相になれなかったのは、本当に惜しい。自民党総裁選の頃に読んだだけあって、これは考えなくてはならないことがたくさんあった。男性に読んで欲しい一冊だ。2021/09/26
代理
3
クソ本。女性政治家として両極端な二人を描くことで女性政治家の幅を~とか書いてるけど大失敗してると思う。個人史のまとめ方が雑。土井の能力不足は全て『要領の悪さ』とポジティブに捉え、小池の達成は全て『パフォーマンス』と腐す文章の党派性がすごい。小池のアザや子宮摘出の時期にまで噛みつくのはさすがに引く。2024/06/23
guanben
3
小池百合子と土井たか子。俗物と堅物。政治屋と学者。対称的な2人の足跡を紹介しているが、より多くの女性政治家を育成しなければ、という筆者の主張とイマイチ噛み合っておらず消化不良。また、先行研究の引用で構成されているため、新しい百合子像・たか子像を提示できておらず、これも残念。人を語る時は、本人や関係者への取材をして欲しい。期待していたので残念な一冊。2022/05/11
Akio Kudo
2
★★★ 土井にとっては小池百合子と一緒にされたくないだろうと思ってしまう。どちらも組織を動かす事に成功していないのは皮肉2025/06/26