ちくま新書<br> 産業革命史 ──イノベーションに見る国際秩序の変遷

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ちくま新書
産業革命史 ──イノベーションに見る国際秩序の変遷

  • 著者名:郭四志【著者】
  • 価格 ¥1,155(本体¥1,050)
  • 筑摩書房(2021/10発売)
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  • ISBN:9784480074348

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内容説明

イノベーションこそが世界秩序を形成してきた。技術革新が起きる現象を広く産業革命と捉え、第一次産業革命(1760~1830年代、軽工業)、第二次産業革命(19世紀後半~20世紀初頭、重工業)、第三次産業革命(20世紀後半、IT・情報)、第四次産業革命(2010年代以降、IoT・AI)の四段階に分け、世界経済の変遷をたどり直す。経済体系の変遷や社会経済発展・分業との関係など多様な論点を交え、持続的な世界経済の運動として産業革命を大局的に描き出す。

目次

はじめに
第1章 イノベーションと産業革命
1 産業革命の各段階
イノベーションとパラダイム転換
第一次産業革命──動力・エネルギー
第二次産業革命──重化学工業
第三次産業革命──コンピューター、省力化
第四次産業革命──IoT・AI
2 産業革命の構造と技術構成
産業革命の核心技術
産業革命の技術キャリアの特徴
第2章 第一次産業革命──イギリス発の工業化(一七六〇年代~一八三〇年代)
1 イギリスはなぜ産業革命に至ったのか
イギリス産業革命の主要条件
その他のイギリス産業革命の背景
2 イギリスの産業革命──三つの特徴
手工業の熟練
マクロとミクロの技術発明の融合
農業革命
第3章 第二次産業革命──アメリカへのパワーシフト(一八六〇年代~二〇世紀前半)
1 イギリスの世界支配のパワー
ヘゲモニー国家となったイギリス
パクス・ブリタニカの特徴
2 パワーバランスのシフト──イギリスの世界支配の衰退と米国の台頭
「世界の工場」の凋落
イギリス衰退の背景
3 アメリカの産業革命
一九世紀後半からのスタート
イギリスからの外圧
特許制度
互換性生産方式
4 アメリカのパワーの拡大と世界へのヘゲモニー
第二次産業革命によるパワーバランスの変化
イノベーションによるキャッチアップ
大量生産と起業家精神
アメリカのヘゲモニーの特徴
ソ連封じ込め
5 ドイツの産業革命
急速な重工業の発展
ドイツ成功の要因──科学技術教育・特許・独占
国策としての産業革命
6 日本の産業革命
軽工業からのスタート
日本の産業革命の特徴──明治維新・特許制度・教育基盤
殖産興業と官営工場
7 なぜ中国の産業革命は遅れてやってきたのか
改革・開放による第一次産業革命
一九九〇年代後半からの第二次産業革命
工業化・産業革命の試みはなぜ失敗続きだったのか
四度目の試みで成功
中国特有の産業革命時期区分
中国の産業革命の特徴
第4章 第三次産業革命──ヘゲモニー国の変遷(二〇世紀後半~二〇世紀末)
1 国際政治経済構造の変容──ヘゲモニー国の衰退
アメリカのモノづくりの行き詰まり
技術革新の停滞
金融資本主義のイノベーションへの影響
米国の優位性の低下に伴う経済的パワーシフト
米国主導の国際金融秩序の揺らぎ
国際貿易体制に関わる影響力の後退
2 戦後ドイツと日本の工業──技術力の向上
ドイツのマイクロ・エレクトロニクス技術
ドイツの製造業のイノベーション力
日本の戦後経済
日本の製造業のイノベーション──鉄鋼、ロボット、半導体
日本の製造業のイノベーションの要因
日本の半導体産業の発展
日本の自動車産業のイノベーション
3 新興・途上国の台頭
アジアNIEsの台頭
韓国のキャッチアップ工業化
台湾──半導体産業の大発展
中国の産業発展──先進国からの技術導入・外資利用
家電・自動車産業の躍進
後発のメリットを活かした国際分業への参入
4 中国は世界のヘゲモニー大国になるか?
世界最大のGDP大国へ
核心技術の欠如
技術資源の制約
5 ソ連崩壊の原因──技術革新力の欠如
低い技術進歩率
民生産業・技術の大幅な遅れ
イノベーション欠如の原因
科学的社会主義の限界
第5章 第四次産業革命──グローバル化と競争の激化(二〇一〇年代~)
1 インダストリー4・0と主要国の戦略
インダストリー4・0とは何か
インダストリー4・0が生まれた背景
2 ドイツ──インダストリー4・0
政府の政策・取り組み
「ハイテク戦略二〇二五」
企業の取り組みと政府の企業への支援
具体的推進策
ドイツの第四次産業革命の特徴
3 アメリカ──デジタル化とオープン・イノベーション
米国政府の取り組み
トランプ政権の米国科学技術イノベーション政策の特徴
バイデン新政権の主な先端技術の政策・戦略動向
米国企業の第四次産業革命への主な取り組み
4 中国──国家主導による製造業のイノベーション
「メイド・イン・チャイナ二〇二五」と「インターネット+」
「AI二〇三〇」とブロックチェーン技術
中国の第四次産業革命の特徴
IoT、AIの非製造業への偏りとハイテク技術摩擦
海外からの人材調達
5 日本──企業主体のイノベーション
「Society 5.0」
日本の第四次産業革命への取り組みの特徴
6 新型コロナ対応とグリーン成長戦略
IoTによるコロナへの対応
カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略
終章 国際政治経済秩序のゆくえ──産業革命史の視点から
1 今日の世界政治経済構造の変容
金融・貿易分野での中国・新興国の存在感の高まり
G20における新興諸国の国際社会への影響の拡大
気候変動問題への中国の影響力の拡大
2 今後の世界政治経済構造の再編成のゆくえ
世界政治経済構造を再編成するファクター・条件
再編成に向けての技術主導権争いと技術制裁
技術獲得型直接投資・M&Aへの規制強化
サプライチェーンの変化・再編
技術覇権争いの展開──暗号化をめぐる米中摩擦対立
デジタル人民元によるドルへの対抗
米中対立とブロック化──非対称のブロック化・デカップリング
米中対立の深刻化──国際政治経済秩序のさらなる揺らぎ・複雑化
中国がアメリカを恐れない理由
米中、そして日本のゆくえ
あとがき

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