内容説明
大奥女中と法華宗僧侶の乱れた性の証拠を掴むべく、密偵として大奥に忍び込んだ齢十九の登美に魔の手が迫る。部屋住みの三男坊、新之助が大胆に敵を翻弄し、事態はますます息をもつかせぬ大攻防へ。両陣営に犠牲者が続出。そして、衝撃的な結末は―。全てを見届けた新之助の目には儚い陽炎が揺れていた。
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909(明治42)年12月、福岡県企救郡板櫃村(現・北九州市)に生れる。53(昭和28)年「或る『小倉日記』伝」で第28回芥川賞を受賞。56年、それまで勤めていた朝日新聞社広告部を退職し、作家生活に入る。63年「日本の黒い霧」などの業績により第5回日本ジャーナリスト会議賞受賞。67年第1回吉川英治文学賞受賞。70年第18回菊池寛賞、90年朝日賞受賞。92(平成4)年8月死去
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感想・レビュー
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しんた
8
苦手な時代の作品だったが、清張作品だから何とか読めた。江戸時代版スパイ大作戦か。2015/08/02
Hitoshi.F
7
読了。時代こそ違えどやはり松本清張のサスペンス作品、十分な読み応えがあった。概ね史実に基づく物語だというところがいい。「権力は必ず腐敗し、エリートは例外なく挫折する」というモチーフを小説という形で書き続けることに清張は執念を燃やしたという。後書きにあった「権力は空しい、その空しい権力になぜ人間は他人の命を奪い、自分の命をすり減らしてまで縋ろうとするのか」が印象的、現代でも不思議に思う時が多々ある。登場人物の島田新之助、実にカッコいい。現代のトムクルーズか(笑)2017/08/25
go
6
下巻になっても面白さが落ちる事が無くかなり楽しめた。読み終えた後に腹に残る感じがあった。読み応えがあった。しみじみと良い題名だなと思った2015/02/08
タツ フカガワ
5
十二代将軍家慶の世で、いまだ幕府の実権を握る大御所家斉(五十四人の子をもうけた絶倫の人)。大奥を巻き込んでの家慶一派vs家斉一派の権力争奪がはらはらどきどきの展開で、一瞬も緩みがない面白さ。なかでも家斉派の巨魁、中野石翁が魅力的でした。2016/09/15
ハイク
2
下巻に入り予想した展開とは異なり意外な人が殺されて行く。一体どうなってしまうのだろうと興味深々読み進める。まさに松本清張の醍醐味である。そして結末は?ということで長編推理小説を読み終えた。 2013/03/01