ちくま新書<br> 頭山満 ──アジア主義者の実像

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ちくま新書
頭山満 ──アジア主義者の実像

  • 著者名:嵯峨隆【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2021/10発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480074331

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内容説明

明治から昭和まで活動し、「無位無官」の浪人ながら多方面に政治的影響力を持った頭山満(とうやま・みつる)。日本のアジア侵略を肯定していたという理由で、その評価は高くないまま現在に至る。だが国権主義を無前提的に悪として、頭山の行動や言説を解釈することは客観的とは言えないだろう。頭山の生涯をたどりなおし、アジアとの連帯感と侵略志向とがいかなる形で彼の中で併存していたかをアジア主義との連関で読み解きつつ、近代日本のアジア観を問いなおすことを試みる。

目次

はじめに
第一章 福岡の地にて
1 少年時代から玄洋社設立に至るまで
「頭山満」誕生す
青年時代の読書傾向
2 玄洋社の設立と頭山満
民権論者への道
向陽社から玄洋社へ
西郷隆盛への心酔
3 玄洋社における諸活動
頭山満の「一刀流」
条約改正案反対運動
選挙干渉事件
政界と距離を置く
第二章 皇道とアジア
1 皇アジア主義者としての頭山満
頭山満の思想的基盤
アジアへのまなざし
皇アジア主義──皇道楽土の建設
2 金玉均支援活動と反ロシアの主張
金玉均の来日と樽井藤吉
頭山満、支援に起つ
ロシア問題と頭山満
韓国併合について
3 孫文の革命運動への支援
孫文の革命運動と頭山満
頭山満、中国に渡る
孫文の再亡命と頭山満
第三章 中国からインドへ
1 大正初期の日中関係と頭山満
きしむ日中関係
帝制復活、そして黄興の死
第一次世界大戦参戦について
2 頭山満のインド支援
ラース・ビハーリー・ボースの来日
霊南坂での「神隠し」
グプタ、中村屋から逃走す
ボースのその後
3 高まる反欧米意識
ワシントン会議に対する批判
アメリカの排日問題に当たって
第四章 中国の変革に向けて
1 孫文との最後の会見
孫文のアジア主義
孫文、最後の来日
神戸での孫文・頭山会談──一日目
神戸での孫文・頭山会談──二日目
2 大正末期から昭和にかけての諸活動
盟友・孫文の死
孫文以後の中国との関わり──皜介石の来日
頭山満、二度目の中国訪問
さらなるアジアとの交流
第五章 日中戦争の中で
1 苦悩する頭山満
満洲事変、血盟団事件の余波
五・一五事件と頭山秀三
頭山秀三の逮捕
2 本格化する日中戦争
満洲国建国後の頭山満
盧溝橋事件以後の中国と
国士の模範像
日中和平工作の中で
太平洋戦争開始以後
おわりに
参考文献
略年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

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61
副題通り頭山のアジアとの関わりを中心にした評伝。金玉均、ボース、孫文、蔣介石などアジアの様々な志士たちとの多彩な交流と、主義主張というより直感的に人物を評価しながら支援していく様子は、確かに度量の広い豪傑な印象を受けた。一方本人の手による著作が少なく、評伝に頼っているため、その思想はなかなか像を結びにくく、それこそ「国権主義」で括って終わってしまう印象。例えば韓国併合についてどう考えていたかも、少ない言動から類推するしかないのが苦しい。また、「石炭王」と呼ばれるその資金源について記述がほぼないのが残念。2022/05/13

ナン

12
あまり知られていない頭山満の生涯やアジア大陸との関わりを知るには良い本だと思う。ただ、辛口で申し訳ないが、後半生で豪傑・国士と呼ばれるようになったエピソードや背景(特に自由民権運動期)などを具体的に知りたかったので、自分としてはやや物足りない内容。2021/12/25

無重力蜜柑

11
戦前を代表する右翼活動家、頭山満の評伝。幼少期からの八九年に渡る生涯を追う。頭山は右翼団体・玄洋社の頭目として名を残しているが、実際に何をした人物なのかと言われればピンと来ない。同じ右翼と言っても昭和維新のテロに関わった北一輝や井上日召のようなイデオローグではなく、大川周明や平泉澄のように官位を得たわけでもない。頭山は徹底して無位無官の浪人であり、思想というよりは様々な人物を繋ぎ束ねていくその人間性によって影響力を持った。松本健一だったかが頭山のことを「ボス猿」と評していたが、的を射た表現だと思う。2025/04/12

qwer0987

10
右翼の巨魁、戦前のフィクサーというのが頭山満の印象だったが、概ねそのイメージ通りの人といった感を受けた。そして基本的に彼に共感できる面はないとも思った。皇道主義者で国権主義者の頭山だが、彼の行動原理には深い思索の跡があまり見られず、観念的、情緒的、精神的、自尊的な感覚で行動しているように見えてげんなりする。アジア主義の考えは立派だが、他国に対してあまりに上目線が過ぎる。だがそういう情緒的な人間だからこそ孫文たちを真剣に支援できたのだろう。個人的には彼の資金源である鉱山事業の概要も詳述してほしかった2024/07/07

ゆうきなかもと

10
面白かった。頭山満は、やっぱり豪傑ですね。本書によれば、そのアジア主義は、英米の侵略影響の排除に重点があったと言うこと。 ロシアによるウクライナ侵攻のなかにも、また英米の影響、策略があるかのような話もある。 アングロ・サクソンの恐ろしさを感じた。2022/08/31

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