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内容説明
明治から昭和まで活動し、「無位無官」の浪人ながら多方面に政治的影響力を持った頭山満(とうやま・みつる)。日本のアジア侵略を肯定していたという理由で、その評価は高くないまま現在に至る。だが国権主義を無前提的に悪として、頭山の行動や言説を解釈することは客観的とは言えないだろう。頭山の生涯をたどりなおし、アジアとの連帯感と侵略志向とがいかなる形で彼の中で併存していたかをアジア主義との連関で読み解きつつ、近代日本のアジア観を問いなおすことを試みる。
目次
はじめに
第一章 福岡の地にて
1 少年時代から玄洋社設立に至るまで
「頭山満」誕生す
青年時代の読書傾向
2 玄洋社の設立と頭山満
民権論者への道
向陽社から玄洋社へ
西郷隆盛への心酔
3 玄洋社における諸活動
頭山満の「一刀流」
条約改正案反対運動
選挙干渉事件
政界と距離を置く
第二章 皇道とアジア
1 皇アジア主義者としての頭山満
頭山満の思想的基盤
アジアへのまなざし
皇アジア主義──皇道楽土の建設
2 金玉均支援活動と反ロシアの主張
金玉均の来日と樽井藤吉
頭山満、支援に起つ
ロシア問題と頭山満
韓国併合について
3 孫文の革命運動への支援
孫文の革命運動と頭山満
頭山満、中国に渡る
孫文の再亡命と頭山満
第三章 中国からインドへ
1 大正初期の日中関係と頭山満
きしむ日中関係
帝制復活、そして黄興の死
第一次世界大戦参戦について
2 頭山満のインド支援
ラース・ビハーリー・ボースの来日
霊南坂での「神隠し」
グプタ、中村屋から逃走す
ボースのその後
3 高まる反欧米意識
ワシントン会議に対する批判
アメリカの排日問題に当たって
第四章 中国の変革に向けて
1 孫文との最後の会見
孫文のアジア主義
孫文、最後の来日
神戸での孫文・頭山会談──一日目
神戸での孫文・頭山会談──二日目
2 大正末期から昭和にかけての諸活動
盟友・孫文の死
孫文以後の中国との関わり──皜介石の来日
頭山満、二度目の中国訪問
さらなるアジアとの交流
第五章 日中戦争の中で
1 苦悩する頭山満
満洲事変、血盟団事件の余波
五・一五事件と頭山秀三
頭山秀三の逮捕
2 本格化する日中戦争
満洲国建国後の頭山満
盧溝橋事件以後の中国と
国士の模範像
日中和平工作の中で
太平洋戦争開始以後
おわりに
参考文献
略年表