内容説明
“連帯”という言葉はすでに有効性を失っているのだろうか――。人間一人ひとりは欠如を抱えているが、複数人が結合すると一人では不可能な過剰が生まれる。この欠如と過剰を往還するなかでわれわれの日々の生は形づくられる。本書は、連帯の定義・分類・歴史から始まり、経済や宗教との関わり、そして連帯それ自体が持つ困難について包括的に考察した初の論考。人間の存在構造として連帯を捉え、その可能性をいま一度問いなおす。
目次
まえがき
序章 問題としての連帯
1 災害ユートピアからの問い
2 連帯する人間
3 本書の構成
第1章 連帯の類型と定義
1 連帯の前史
2 連帯の類型
3 連帯の定義
第2章 社会的連帯論の系譜
1 社会的連帯論の先駆
2 デュルケームの連帯論
3 ブルジョワの連帯論
4 社会的連帯論の射程
第3章 政治的連帯論の系譜
1 政治的連帯とは何か
2 社会主義における連帯
3 アナキズムの系譜①──バクーニン
4 アナキズムの系譜②──クロポトキン
5 カミュの連帯論
6 「連帯」から連帯へ
第4章 市民的連帯の圏域
1 福祉国家における連帯
2 福祉国家の理由
3 脆弱性と依存
4 福祉国家と資本制
5 福祉国家と連帯の危機
第5章 現代における展開
1 連帯の困難
2 リスク社会における連帯
3 ローティの連帯論
4 合理的選択と連帯
第6章 キリスト教の連帯論
1 愛から連帯へ
2 社会教説における連帯
3 解放の神学と連帯
4 社会教説の外部へ
第7章 連帯経済とは何か
1 資本制・経済・連帯
2 連帯経済の実践
3 連帯としての経済
4 連帯経済からの問い
第8章 人間的連帯と倫理
1 人間的連帯とは何か
2 消極的義務からのアプローチ
3 連帯の人間存在論
4 倫理的連帯へ
終章 連帯の限界と未来
1 誰による何のための連帯か
2 連帯の負の力
3 連帯のユートピア
注
参考文献
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
jackbdc
Go Extreme
Haruki