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内容説明
駅前商店街のはずれ、赤い鳥居が並んでいるあたりに、夕暮れになるとあらわれる不思議なコンビニ「たそがれ堂」。大事な探しものがある人は、必ずここで見つけられるという。今日、その扉をくぐるのは・・・? 慌しく過ぎていく毎日の中で、誰もが覚えのある戸惑いや痛み、矛盾や切なさ。それらすべてをやわらかく受け止めて、昇華させてくれる5つの物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
628
町のどこかに、あってほしい店。入るとほっとできる雰囲気が感じられるような。めったに涙ぐむことなんかないんだけど、あんずの話は思わずグッとくるものがあった。人間になりたかった猫の最後の願い。命がなくなっても決してすべてがなくなってしまうようなことはないんだ、という言葉には勇気づけられる。ぜひ続きを読みたいと思います。2013/11/20
優愛
525
"さよなら"はきっと言葉だけじゃ不安と悲しみを与えてしまうだけの寂しさを隠し持った言葉。たとえ絵空事だって笑われてもいい。その先の未来をそっと言葉の背景に乗せて伝えられたらそれだけできっと忘れられない別れを、素敵な思い出を導いてくれる正反対に優しい言葉になれる。一番印象的だった子猫のあんずだってきっと分かっていたんだろうな。どこかから来てどこかで幕を閉じる命と大切な誰かの命は隣り合わせだって思えば孤独を感じることはないはず。真っ暗な世界で無数に瞬く星のように儚い物語に心がじんわり温かい。回復剤、納得です。2015/01/17
kishikan
438
かねてより読んでみたいな、と思っていた本。元本の児童書を文庫化にあたり大人の読み物として再編したとのこと。村山さんの文庫版後書きに、「お気に召していただけたでしょうか?」とありますが、どうしてどうして、感動いたしました、もうコンビニたそがれ堂の大のファンになってしまいました。中でも「桜の声」は、時を超えた人と人をつなぐラジオから流れる声が本当に聞こえてくるようです。「あんず」では猫の思いにグッときてしまいました。本編を通した村山さんの「別れ」の記述は、切ないけれど、優しくて、爽やかな余韻を残してくれます。2011/08/16
のんちゃん
379
子供達がまだ小学生だった十数年前、小学校で読み聞かせボランティアをやっていた。その頃この本に出会っていたら、ぜひ題材として採用したい本だった。作者後書きにもあるように、人は悠久のこの世界で「借り暮らし」の存在だ。だから、今を大切に誠実に生きようと思う。なんだか、世界全ての存在が優しく感じられるお話だった。2016/11/20
菅原孝標女@ナイスありがとうございます
366
―風早の街の 駅前商店街のはずれに 夕暮れどきに行くと 古い路地の 赤い鳥居が並んでいるあたりで 不思議なコンビニを 見つけることがある といいます― 4作目の『あんず』が好き。村山先生の、あらゆる擬人法が尊すぎて涙が出る。こうして人間ではないものの気持ちを想像して描かれた作品は心の底からあたたかいと思う。2018/05/10