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内容説明
天才的な数理科学者として広く知られているアルキメデス。小学校の算数の教科書では円周率がおよそ3.14であることを初めて発見した人物として紹介され、中学校の理科の教科書では、「浮力に関する法則」の項で「アルキメデスの原理」が説明されている。果たして「アルキメデス」とはどのような人物だったのだろうか。本書ではその生涯を追いながら、古代ギリシア思想におけるさまざまな制約下で、発想を形として実現させたアルキメデスの凄さを再発見する。
目次
プロローグ
第1章 その男の名は「アルキメデス」
第2章 アルキメデスは何を発見したのか?
第3章 究極の「軍事兵器」
第4章 究極の「数学兵器」
第5章 アルキメデスが最後に解こうとしたもの
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
樋口佳之
51
近代以後の数学は、微分・積分という新しい数学を創造していくことになります。そこではギリシア数学とは異なり、無限(極限)を積極的に取り入れ、無限を「ポジティブな概念」として捉えています。/この飛躍の意味合いを高校生の時に聞いた記憶が無い。教えてもらったのかな?2022/01/02
ta_chanko
15
敵の軍船を引っかけて持ち上げ、海に落として沈没させる「巨大な鉤爪」。距離を自在に調節できる「投石機」。太陽光を鏡で集めて敵の軍船を燃焼させる「死の熱光線」。いずれも高度な数学的知識を駆使して造られた軍事兵器。当時のプラトン主義的な学問に反して現象から数学的法則を生み出した。円の面積などは限りなく細分化することで解を求めた。火薬や電気が発明される前としては最高レベルの知識や技術をもっていたのではないか。現代に生きていたら、どんな発明をしただろうか。2021/09/28
mikio
8
「しかしマルケルスを最も悲しませたのはアルキメデスの悲運であった。彼は自宅で、図形を一心不乱に見つめながら思索にふけっていたので、ローマ軍が侵入したことも町が陥落したことも、気づかずにいた。そこへ突然一人の兵士が彼の傍らに立って、マルケルス閣下の所へ ついてこいと命じたが、彼はその問題を解いて証明を得ないうちは行こうとしなかった。するとその兵士は腹を立て、剣を抜くや彼を殺してしまった。」(プルタルコス『英雄伝』)2021/09/16
水月
6
その名を聞いたことのない者はいないであろう、 偉大なる数学者アルキメデス。数学とその片手間に行う機械の発明で、敵国ローマにすら名を轟かせた。その数学的な発想の源は、本来のギリシャ的な価値観からは、 出てこないような ものであったという。千年の時を飛び越えるような 天才 というものは、世界を飛躍的に発展させる。 だからこそ、 現代はすでにその知識を乗り越えてなお、発想の源泉には大いに価値がある。 アルキメデスは 生涯に何度 ヘウレーカと叫んだんだろうな。
B.J.
5
古代ギリシャ思想の様々な制約下にありながら、発想をイメージで終わらせず具現化した点に、アルキメデスの凄さがある・・本文より2023/06/21