内容説明
俺たちは踊れる。だからもっと美しい世界に立たせてくれ! 極道と梨園。生い立ちも才能も違う若き二人の役者が、芸の道に青春を捧げていく。芸術選奨文部科学大臣賞、中央公論文芸賞をダブル受賞、作家生活20周年の節目を飾る芸道小説の金字塔。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
697
丁寧体の独特のナラティブで語られる。「…でございました」 のような完了時制が基本なのだが、臨場感を高めるために随所に、また会話文には現在形が用いられる。いわば時制の混交なのだが、違和感はない。では、これを語っているのは誰で、何時の時 点でのことなのか。下巻で明らかになるだろうが、老年となった喜久雄が、過去を回想しているというのが私の推測。任侠の家に生まれ、やがて歌舞伎の世界で大成する(タイトルからしてそうなるだろう)喜久 雄の一代記なのだが、上巻は喜久雄が三代目半次郎を襲名する興隆期だが、後半はその反動⇒2025/10/12
ミカママ
624
いつかは読むだろうな、と思っていた今作、をこのタイミングで。登場人物のキャラが立ち昇ってくる。中には悪役もいるのだが、基本は義理・人情に守られて成長していく主人公。その過程のアップ・ダウンにキリキリさせられながら時間を忘れて読み進む。歌舞伎を知らない読者をも夢中にさせる筆致はさすが。くまざわ書店で手に入れたこちらには映像化を意識した二重カバーがかかっているもの。つくづく劇場で観たかった。さて下巻へ。2025/07/31
粗晒し六兵衛
385
★★★★☆ おもろいなぁ。歌舞伎はよくわからんから見たことないけど、TVでやってる歌舞伎役者のドキュメンタリーとか密着映像は面白いから好き。歌舞伎の世界は何でこんなに面白いんだろう。魅力的な人達ばかり。下巻も楽しみ。2025/05/28
maekoo
309
2018年9月刊行作品の文庫版で芸術選奨文部科学大臣賞と中公文芸賞受賞名作芸道小説青春篇! 映画で話題だが割愛している人物や設定を読みたくて先に読書! 「悪人」「怒り」等々数々の作品が映画化されているその物語世界の構築と人物造形が見事で、そのドラマチックでメリハリのある世界にグイグイと引き込まれその登場人物たちの波乱に満ちた人生を追体験する! 仁義なき戦い張りの任侠の世界と歌舞伎界と言う厳しい表裏世界…厳しい鍛錬と生き様が顕れるその雅美な舞台が目に浮かぶ! 世阿弥の風姿花伝や花鏡に通ずる芸道の神髄を知る!2025/07/27
やっちゃん
299
序盤長崎は任侠小説で自分好みだったが大阪に移って歌舞伎大河小説に。歌舞伎は門外漢でモンゴルマンしかわからないが文面でも凄みが伝わる演技は生です観てみたくなる。大人の対応する幸子がつい本音を出すシーンが良かった。2025/09/28
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