内容説明
イタリアの独裁者ムッソリーニを主人公として書かれたイタリア文学史上初めての小説。すでに国内だけで50万部のベストセラーとなり41カ国で版権売れ。ファシズムをえぐる話題の小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
191
上下巻、1,000頁弱、完読しました。ボリュームがあるので、ムッソリーニの生涯を描いた作品かと思いきや、政権を獲るまでの6年間の物語でした。本書は四部作の第一部だということです。期待していた内容とは異なりますが、ムッソリーニの人となりはわかりました。ヒトラーと対比されることが多いですが、ムッソリーニ に関する著書が少ないのもある意味納得です。第二部(イタリアでは発行済)以降を読むかどうかは微妙です。 https://web.kawade.co.jp/bungei/22539/2021/10/28
大森黃馨
3
この書の読後に持ちたる邪道な感想それは戦前期の日本は色々と言われるが無論褒められたものではないもののよく巷に言われるが如く我々日本人は特別下等な民族の証明では無く割と世界的に普遍的な歴史やその流れであったのではないかという事それにしても当作品は当初は物凄く読み辛く嫌々だったのにふと気がつけばすらすらぐいぐいと夢中で読み進めていた事前に他から基礎知識を得ておかねばならない欠点はあるものの佳作な良書で続編が大変に楽しみである 2022/03/16
lico
3
『ファシズムとは要するにはったりに過ぎないが、それはじつに多彩で豊富なはったりなのだ(191P)』下巻ではローマ進軍からマッテオッティ事件までが描かれている。暴力がある程度許容されていた時代がつい100年前まで存在していたことにどこか不思議な感覚を覚える。ムッソリーニを追い詰める多くの事柄がファシズムに端を発していることに気付かされる。不満と恐怖を利用ししながらも、それら二つの感情の発露である暴力の暴発を防ぐことができずに右往左往する姿は滑稽でありながら、それらの危機を乗り越える姿にはどこか魅力を感じる。2021/08/29