コルク<br> ある男

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コルク
ある男

  • 著者名:平野啓一郎【著】
  • 価格 ¥902(本体¥820)
  • コルク(2021/09発売)
  • 澄みわたる秋空!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~11/9)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167917470

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内容説明

【映画化で話題!石川慶監督 × 原作 平野啓一郎】
★第46回日本アカデミー賞で
作品賞を含む最多の8部門の最優秀賞を受賞

【第70回読売文学賞受賞作】
『マチネの終わりに』『本心』の平野啓一郎による、傑作長編。
人間存在の根源と、この世界の真実に触れる文学作品。

「愛したはずの夫は、まったくの別人でした──」
弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から、「ある男」についての奇妙な相談を受ける。
宮崎に住んでいる里枝には、2歳の次男を脳腫瘍で失って、夫と別れた過去があった。長男を引き取って14年ぶりに故郷に戻ったあと、「大祐」と再婚して、新しく生まれた女の子と4人で幸せな家庭を築いていた。
ところがある日突然、「大祐」は、事故で命を落とす。悲しみにうちひしがれた一家に、「大祐」が全くの別人だという衝撃の事実がもたらされる……。

愛にとって過去とは何か? 人はなぜ人を愛するのか。幼少期に深い傷を負っても、人は愛にたどりつけるのか?
「ある男」の人生を探るうちに、過去を変えて生きる男たちの姿が浮かびあがる。

『ある男』特設サイト  ? https://k-hirano.com/a-man

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

Kanonlicht

397
人が決して捨て去ることのできないもの、それまで生きてきた人生。では、人が人を愛するとき、今を生きるその人だけを愛することができるのか。その人生に看過できない汚点があったとしたら。その人自身の努力の及ばぬところで生まれながらに背負ってしまったレッテルがあったとしたら。一人の男の人生を他者が追跡していくことによって、彼自身には見えていなかった彼の本質が浮かび上がる。過去などなくても人はこんなにも愛されるのだという希望とともに、そうまでしないと過去からは逃れられないという不条理を感じた。2021/11/04

しげき

347
夫の大祐が不慮の事故で亡くなった。妻の里枝は夫の親族とは疎遠だったが、亡くなったとなれば連絡しないと思い大祐の兄に連絡をとる。知らせを聞いた兄は里枝の元へ。そこで大祐の写真を見た兄は一言「これは私の弟ではない」··じゃあこの男は一体誰なんだ?映画が楽しみです。2022/05/14

エドワード

306
宮崎の山の町に住む里枝は、再婚した夫・谷口大祐に林業の作業中の事故で先立たれる。ところが彼の兄は写真を見て「大祐ではない。」と言う。里枝の夫は誰だったのか?里枝は、彼女の離婚調停に携わった弁護士・城戸章良に真相究明を依頼する。紆余曲折の末に城戸は驚愕の真相にたどり着く。過去と血縁に囚われる人間たちの、深い、深い物語だ。戸籍の交換、死刑廃止運動、在日三世の韓国人である城戸と家族の葛藤、現代社会の闇が圧倒的な熱量で展開されていく。「愛にとって、過去とは何だろうか?…」全てが明らかになった終幕の明るさが救いだ。2021/11/27

あきら

275
出だしの一文で、心を奪われてしまった。 表現の多彩さで、モヤモヤとしたものを言語化していく、素晴らしい作品です。 過去ってなんだろう。これから続くものよりも必要なものなんだろうか。そんな根源を見つめ直す読書体験になりました。2021/10/17

きいたん

244
人は何をもってその存在を立証するのだろうか。戸籍か。身体か。それとも過去に残してきた足跡か。そんな問いが否応なく浮かぶ。初めて生まれた問い。繊細で緻密な言葉が紡ぎ出す彼らの感情は真っ直ぐに私の心に入り込む。そして考えさせるのだ。人の存在の不確かさを。それは里枝や城戸と同様に不安を増幅させ、動揺を誘い、愛に対する信頼をも揺るがす。だが不安の元凶となった「ある男」の存在を探す旅が、素朴だが純粋な愛を唐突に悟らせる。私は幸福だったのだと。あなたといると嬉しい。あなたがいないと寂しい。愛の原点に触れる物語だった。2021/09/30

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