内容説明
【逝去直前まで推敲を重ねた津島文学の到達点】
「津島さんはまだこの小説の中に生きていて、読む私たちとともに、奮闘している」――星野智幸(解説)
でもあのことばだけは消え去らない。
忘れていたはずなのに、ひどいことばを聞かされたという感触だけは残されていた。
その痛みだけは忘れられなかった。(本文より)
15歳で早逝したダウン症の兄との思い出、ヒトラー・ユーゲントの来日。
「あこがれ」、障害、病気、戦争、差別、「不適格者」……大家族二世代の物語はこの国の未来を照射する。
『火の山―山猿記』で第34回谷崎潤一郎賞・第51回野間文芸賞を受賞した著者による、絶筆長編。
※この電子書籍は二〇一六年八月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
satooko
2
著者の遺作、亡くなる直前まで手を入れていたらしいので、完全版ではないのかもしれないが、その香りが漂う作品に思える。若いときから読んでいた、熱心ではないがときどきは新刊も手にしていた作家がだんだんいなくなるのは、さみしい。2022/03/15
ポポ
0
さすが津島佑子。自分の意識より、一段深いところをついてくる…。自分がうっすらと感じてはいるが、気がつかないふりをしている感情、無いものとしている感情、を実に明解に表面化してくる。それが苦でもあり、快でもある…。2022/12/28
nkwada
0
夭折したダウン症の兄がいる絵美子が、いとこから「フテキカクシャ」と囁かれた思い出、、ヒトラーユーゲントを歓待したというおじおばたちの後悔とか、差別をテーマとして扱った小説。登場人物の関係をつかむのに手間取った。津島佑子にとって最後の作品とのこと。2022/05/26




