内容説明
大使として、銀河を支配する帝国を訪れたマヒート。そこは策謀が渦巻く混沌の極みにあった。ヒューゴー賞に輝いたSF宮廷陰謀劇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わたなべよしお
30
小さな採掘ステーション国家の大使として銀河の4分の一を支配する帝国に赴いた主人公。出会ったのは前任大使の遺体だった。意味の分かりにくい文章が散見されるが、いろんな秘密が少しずつ明らかになっていくプロセスはとても面白くて、止まらない。2021/08/29
fukumasagami
29
銀河系の1/4に支配権を持つ帝国テイクスカラアンに、採鉱ステーション、ルスエルから大使として派遣されたマヒート。ルスエルでは個人の記憶を伝承するデバイス、イマゴマシンが用いられていたが、帝国には知られていない禁制技術だった。前任大使イスカンダーのイマゴを埋め込んだマヒートは彼の死を帝国の首都シティで知り、それが忙殺ではないかと疑う。帝国から彼女に付けられた案内役スリー•シーグラスと共に前任者を知る人物フィフティーン・エンジンに市内のカフェで会うが、その直後に彼は爆死させられ、彼女たちも傷を負う。そしてー。2021/09/05
鐵太郎
22
帝国の辺境、住むためではなく採掘するための惑星と小惑星だけで形成される「国家」ルスエルの新任大使であるマヒート・ドスマーレ。前任者のイスカンダーの記憶ユニットであるイマゴが15年前のものであるため、最新状況がわからぬままテイクスカラアン帝国に赴任することになりますが、そのイマゴもなぜか機能停止。銀河帝国とルスエルとの間にあるなにかの陰謀のかたちも、皇帝の後継者を回る争いも、いま始めて聞いたばかりという状況の中で、マヒートはなにをすれば良いのか。前半だらだらした感じですが、じわじわとお話は盛り上がります。2022/02/12
もち
22
「彼は陰謀好きで、芝居がかっていて、自分は不死身だと思い込んでいます」◆小さな採掘国家から、帝国へ大使として赴任したマヒートは、前任大使の遺体と巡り会う。なぜ彼は殺されたのか――。技術と花と詩と儀式が混淆する超巨大銀河帝国で、陰謀が蠢いていた。■絡み合った策略と人間関係の危うさ、膠着を打破する機転と信念。それらの巧みな配置により、長編を瞬く間に読ませる。数字+名詞、という法則に基づく帝国の人名は覚えやすい上にお洒落で格好良く、人物への愛着を加速させる。2021/08/21
本の蟲
14
拡大政策を続ける星間大帝国テイクスカラアンに対して、辛うじて主権を維持しているルスエル・ステーション。しかし帝国から突如、新しい大使の派遣が要請される。前任大使の生死も不明のまま、ルスエルは国家機密である神経インプラント『イマゴマシン』で、前任者の記憶と人格が移植された新任大使マヒートを帝国の首都シティに向かわせる。前任者の記憶が最後に更新されたのは15年前。15年の間に帝国で何が起こったのか。ルスエルの主権は今後も維持できるのか。数多の疑問を抱えつつ、マヒートは陰謀渦巻く宮廷に足を踏み入れる。(続2021/09/11