内容説明
生き残った人類は宇宙船で難民のように生きていた。荒廃した地球を脱出した人類の唯一の希望は数千年前の遺産――。
* * * * * * * *
地球の終わりを予測した人類は新たなプロジェクトを進めていた。惑星を改造し、地球の生物とその知能強化をうながすナノウイルスを送り込むテラフォーミング計画だ。ドクター・カーンが担当する惑星では、数十世紀後に進化した猿たちが地球の文明を引き継くはずだった。
だが、その計画を人類への冒涜だと考える過激派の妨害により、カーンのプロジェクトは失敗してしまう。辛くも難を逃れたカーンは、いつか地球から救援隊が来ることを願い、救援信号を送りながら監視ポットで人工冬眠に入る。
妨害工作により全滅した猿たちのかわりに、ナノウイルスが進化させる宿主として選んだのは蜘蛛だった。蜘蛛たちは狩猟の腕を上げ、言語を覚え、共同体を作り、文明を発展させてゆく。天の光を仰ぎ見ながら――。
2016年度アーサー・C・クラーク賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
66
読友さんからのお勧め本。地球が終末を迎える中、人類の祖先である類人猿に新しい惑星での開拓と人類の存亡を託すドクター・カーン。しかし、人間は滅亡に瀕しても愚かさを繰り返す。そんな人間の思惑を当然、無視して知性を発達させるナノウィルスが選んだのは蜘蛛だった!ワハハハ!「人間こそ、最高!」なマンネリ化したSFにうんざりしている人は諸手を挙げて喜ぶSFがここにあるぞ!ポーシャら、新しき始祖達の惑星での生活や政治、蟻との領土争い、疫病との戦いにワクワクする一方、閉鎖的空間で争うしか能のない人類のなんて貧弱な事よ。2023/03/23
tom
27
読友さんのコメントで知った本。登場するのは二つの種族。一つは人類の末裔。先祖は戦いに明け暮れて地球を破壊、残された末裔は宇宙に出て住める場所を探査中。もう一つはクモ。人類の先祖は宇宙探査を行い、テラフォーミングをしていた。そうした星の一つに生物改造を目的にしてナノウイルスを送り込んだ。これに応答したのがクモだった。人間とクモ、今のところちょっとした一時遭遇があっただけ。コミュニケーションも取れなかった。両者とも苦難の道を歩んでいる。近い将来、両者は再び出会い、ユニークな会話が始まるはず。下巻に続く。2025/07/24
to boy
21
新聞の書評を見て購入。地球滅亡から数千年を経て冬眠から目覚めた人類とテラフォーミングにより知的生命と進化したクモの惑星とが交互に語られていく上巻。二つの世界がどうやって繋がっていくのか、数千年前の古帝国の遺物の正体は何なのか。期待が高まる下巻に突入します。2021/10/17
ケンケン
21
(645冊目)Twitterで知り、あらすじから大変面白そうだと購入。 想像していた以上に面白い設定で、特に蜘蛛パートが好みである。 徐々に進化し知能を高め、社会の構成・モノを生産研究・蟻と大戦争・疫病蔓延…そして、交信へと積み重ねられる蜘蛛史の描写は、面白い。 果たして、蜘蛛らの歴史の糸は、どのような運命の模様を織り成していくのか…下巻へ。2021/09/18
本の蟲
17
2016年アーサー・C・クラーク賞受賞の知的生命育成×ファーストコンタクトSF。テラフォーミング計画の一環で、地球から20光年先のある惑星に、実験体である猿たちと知能強化ナノウイルスが送り込まれようとしていた。しかし過激派のテロにより、軌道ステーションは爆破され猿たちは全滅。ナノウイルスは地表にばらまかれ、宿主に選ばれたのは惑星に生息していた蜘蛛たち。一人脱出した実験責任者カーンは、救難信号を発する監視ポッドで人工冬眠に入る。数十世紀後、荒廃した地球からの脱出船が、古帝国の信号を感知して近づいていくが…2021/09/27
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