ちくま新書<br> インドネシア ──世界最大のイスラームの国

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ちくま新書
インドネシア ──世界最大のイスラームの国

  • 著者名:加藤久典【著】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2021/08発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480074171

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内容説明

世界一のイスラーム人口を誇るインドネシアは、独立後、シャリーア(イスラーム法)を国法としない共和国となった。しかし、教義に厳格なムスリムと、より柔軟に教義を解釈するムスリムの溝は埋まることはなかった。そのなかで人々は何を考え、どのような社会を創り上げたのか。インドネシアに計8年間暮らし、その文化と宗教を研究してきた社会人類学者が、綿密なフィールドワークで得た多様なムスリムの声とともに、教義と実践の狭間で揺れる大国の論理と実態を描きだす。

目次

はじめに
インドネシアはどんな国?
戸惑いと好奇心と世界の未来
本書の構成――イスラームを軸に
序章 地球の縮図――多様性の国インドネシア
日本人にとってのインドネシア
「イスラーム社会」と「ムスリム社会」
「原理主義者」という表現の問題点
「教条主義者」
多文化主義の大国インドネシア
地球の縮図としてのインドネシア
第1章 多文化主義への道――五つの建国理念
国境がもたらしたもの
国章に見る多様性を生きる知恵
「ティダ・アパアパ」の精神
パンチャシラの精神――五つの建国理念
唯一神の意味
調和の源
パンチャシラの受容
ボロブドゥールの重み
文明の重層性
第2章 土着文明とイスラーム――反原発運動と信仰
不合理性の効力
ジャワ文明
スルタンの役割
イスラームとジャワ文明
原子力発電所建設計画とイスラーム
原発反対運動とイスラーム
原子力発電所とローカル文明
聖人崇拝の伝統
必要以上を求めない
自然と生きる
連帯の精神
ローカル文明の普遍性
第3章 スハルト政権興亡史――独裁者とムスリムたち
独裁と〝開発〟の時代
インドネシアの政治変化
スカルノからスハルトへ
スハルトの権力掌握
多数派の少数派メンタリティー
強硬派ムスリムの抵抗
ムスリムとスハルトの新しい関係
ムスリムの前進
ムスリムの力
スハルト政権崩壊へ
暴動に揺らぐインドネシア
消えない疑惑
宗教の社会的合理化
スハルト終焉とアミン・ライス
アミン・ライスの変化
アミン・ライスの野望
アミン・ライスの限界?
スハルト終焉とグス・ドゥル
グス・ドゥルの改革
グス・ドゥルと少数派
グス・ドゥルの自己矛盾
第4章 教義と実践の狭間で――ムスリムたちの実情
異なるムスリムの態度
有機体としての宗教
イスラームの聖人崇拝
ローカルな聖地と神話
墓の神聖化
教義に反する物語
「ムスリム社会」の属性
多様化する社会への対応
弱者や少数派の救済
トランスジェンダーのイスラーム学校
トランスジェンダーへの保護と援助
ウラマの見解
宗教と社会の方向性
第5章 終わらない対立――教条主義と自由主義
ムスリムの声を聞く
自由主義の担い手
イスラームと民主主義
自由イスラームネットワーク
イスラームの美
ウリルへの賛否
自由主義の行き詰まりと希望
ラマダン時の襲撃
イスラーム防衛戦線の実態
ブタヴィ族のエカ・ジャヤ
襲撃の理由
過激行動の裏側
ヒズブット・タフリール・インドネシアとイスマイル・ユサント
社会の退廃とカリフの必要性
カリフの独裁化?
有言実行の態度
イスラームと女性
男尊女卑の宗教?
一夫多妻制の現実
教条主義者アブ・バカール・バアーシル
教条主義者の実像
頑固一徹
ムスリムと異教徒の共存
ジハードの思想
多面的なジハード
憲法第九条とイスラーム
開拓者としてのグス・ドゥル
共産主義者の友だち
現実主義のグス・ドゥル
大統領就任
グス・ドゥルと新しいイスラーム
グス・ドゥルと政治
第6章 テロリズムと対峙する大国――「イスラーム国」の登場
イスラームのイメージ
イスラーム国の登場
イスラーム国の背景
インドネシアとイスラーム国
イスラーム国に魅せられたムスリムたち
イスラーム国のメディア戦略
インドネシアのムスリムとイスラーム国
教条主義者の分裂
イスラーム国を拒絶する理由
現代のハワーリジュ
資質を欠くカリフ
「ムスリム社会」とテロリスト
何がテロリストを生むのか?
自文化中心主義とテロリズム
価値の衝突
想像力の必要性
終章 ムスリムと家族になれるのか――宗教的寛容性を考える
ムスリムと家族になれるか?
多数派の少数派メンタリティーの終焉?
アホック事件と〝イスラーム化〟
消えないムスリムのアイデンティティ
イスラーム・ヌサンタラ運動
イスラーム・ヌサンタラの現実
イスラーム・ヌサンタラの寛容性
異教への視座
暮らしのなかの寛容性
豊かなソーシャルキャピタル
あとがき
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

74
世界最多のムスリムの住む国を、「イスラーム社会」「ムスリム社会」という異なる社会概念を用いてそのありように迫っている。多くの島々からなるこの国は、古来から多様な宗教や社会習慣があり、そうしたものにイスラームがどのようにかかわっていくかを、多様なインドネシアでの聞き取りを元に紡いでいく。IS等への関わりなども含め、ステレオタイプな見方では誤った認識に陥ってしまうことを丁寧に示していて興味深かった。異なる価値観をもつ社会に対し、一度その価値観の深いところに踏み込んで考察する著者の姿勢は賞賛に値する。良書。2024/01/19

スプリント

10
中東諸国とは一線を画したイスラーム国であるインドネシア。AKBの分派であるグループがジャカルタで活動するなどやはり一般的なイメージのイスラーム国とは違うようです。 宗教と生活、政治がどのように関係しているのかを中心に書かれており興味深い内容でした。2021/11/23

kaida6213

6
組織ごとのムスリムのムラを俯瞰できてよい。その根本姿勢方針についても解説されているので、わかりやすく概観できる。2024/04/18

なをみん

4
いつのまに世界で4番目に人口が多いとか忘れてた。主にインドネシアで考えるイスラム教の話。日本人の自分にはまだまだ遠いイスラムの世界を知るには読みやすく助けになる本でした。「唯一神への信仰」を持ちながら「何者をも見捨てない」社会を目指そうと揺れてきたインドネシアの歴史。「西欧諸国の傲慢さ」にはもっと自覚的でありたいとも思うし「表現の自由が宗教の尊厳に先立つ」という世界への抵抗感も個人的には共感できる。自分も軽率にアイデンティティを傷つけるような言動には自覚して注意せねばとあらためて思ったりもしました。2025/11/22

Oga

4
【感想】 インドネシアへ旅行に行くため読んだ。インドネシアやイスラムについて、多くの日本人が知らないことを伝えようとする著者の熱意を感じた。多民族・多宗教をそれなりにまとめられているインドネシアという国の知恵と、イスラム教が実際はどのような形で社会に影響を与えているのかを知ることができた。ニュースしか見ていないとイスラム教に対して短絡的で間違った理解になりやすいと思った。2024/03/10

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