ちくま文庫<br> 昭和の洋食 平成のカフェ飯 ──家庭料理の80年

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ちくま文庫
昭和の洋食 平成のカフェ飯 ──家庭料理の80年

  • 著者名:阿古真理【著者】
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 筑摩書房(2021/08発売)
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  • ISBN:9784480434050

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内容説明

小津安二郎の映画『お茶漬の味』からテレビドラマ『寺内貫太郎一家』、平成のマンガ『きのう何食べた?』『花のズボラ飯』まで、家庭料理はどのように描かれ、作られてきたのか。女性雑誌やテレビの料理番組、そこに登場する料理研究家たちは、どんな役割を担ったのか。日本の社会や経済、家族のありかたが通り抜けてきた、この80年の変化を食生活から読み解く。

目次

はじめに
プロローグ 朝ドラ『おひさま』の理想の食卓──昭和前期
第一章 主婦たちの生活革命──昭和中期
(1) 料理研究家はセレブリティ
焼け跡で憧れたアメリカ
『暮らしの手帖』の生活復興
若大将のサラダ
『きょうの料理』が始まる
新しい料理だったサラダ
料理研究家の華やかな経歴
実業家肌の江上トミ
マナーから教えた飯田深雪
小津安二郎の『お茶漬の味』
(2) 向田邦子が描くちゃぶ台
『寺内貫太郎一家』の食卓
洋風好みの『主婦の友』
ロールキャベツ人気の秘密
「家つき、カーつき、ババアぬき」
『だいこんの花』の嫁修業
コラム 調味料が変えた家庭の味
第二章 「本格外国料理を食べたい」──昭和後期
(1) 料理上手は誰のため?
『金曜日の妻たちへ』の食卓
本格フランス料理をつくる
パーティ料理と『赤毛のアン』
思秋期の妻たちへ
モテる少女は料理がうまい?
田辺聖子の手料理論
子どもたちの孤食
(2) 『オレンジページ』と『ハナコ』
『美味しんぼ』の薀蓄
理想の夫、『クッキングパパ』
働く女性の味方、小林カツ代
『オレンジページ』世代
お惣菜派の主婦たち
ハナコ族のグルメ
コラム 進化する料理写真
第三章 家庭料理バブルの崩壊──一九九〇年代
(1) キャリア女性は料理下手!?
昭和が遠のき変わる食卓
デパ地下・RF1のサラダ
『料理の鉄人』革命
槇村さとるが描く食卓
篠田節子のキャリアママ
『すてきな奥さん』の台所
絶望する専業主婦
(2) ハルラー世代……カリスマ主婦の理由
栗原はるみの登場
昭和前半生まれの主婦
天才柳沢教授の家事
コラム 平成デパ地下革命
第四章 食卓の崩壊と再生──二〇〇〇年以降
(1) 昭和後半生まれの食卓
映画『歩いても 歩いても』の親子
『八日目の薰』の母と娘
角田光代作品の食卓
料理できない妻たち
料理を教えなかった母親たち
ままごと料理の『マート』
平成版子どもたちの食卓
(2) 女子のご飯、男子のご飯
主婦に大人気、『花のズボラ飯』
レシピブロガー登場
カフェ飯スタイル
SHIORIの女子レシピ
初心者向け「きょうの料理」
ケンタロウがつくる男子のご飯
マンガ『きのう何食べた?』のレシピ
(3) スローライフの発見
食品偽装の時代
スローフードブーム
連続ドラマ『すいか』の問い
昔と今をつなぐ台所
『おべんとうの時間』の幸せ
コラム 復活なるか。和食の調味料
エピローグ 新世代の家族のドラマ
食が主役の物語
飯島奈美の素朴な料理
連続ドラマ『マルモのおきて』
マルモの二十一世紀家族
主な参考文献
おわりに
文庫版のためのあとがき
解説 食を切り口にした鮮やかな戦後女性史 上野千鶴子

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ホークス

40
多彩なメディア情報を踏まえた秀逸な家庭史、女性史。「本来これが正統」「誰が堕落させたのか」等の言説には権威主義を感じる。人の感覚など環境次第と思うからだ。1960年代生まれの女性は母親から料理を教えられなかった。新しい情報を受けて独学した母親にとって、料理は自ら学ぶもので受け継ぐものではなかったからだ。専業主婦が毎日何品も作るという「正統」だって一時の風潮に過ぎない。戦前の家庭料理はもっと適当で貧素だった。常に頼れる権威など無い。ずっと続く幸せや絶対安心な絆と同じく。本書にある通り、一瞬の笑いに幸せはある2018/04/26

ぶうたん

13
料理を切り口にした女性論、世代論になっていて、こちらの予想とは少し方向性が違っていた。もう少しポップでソフトな感じを期待していたんだけれど、中盤以降はどんどん著者の主張が前面に押し出されてくる。このため、なるほどと思う反面、あまり言い方は良くないが随分と抹香臭くなるので、やや閉口した。2017/02/26

おくらさん

10
時代は今も流れている。 そして1年はいつも同じ時間が流れている中に食の流れは ますます加速している。 きっと今のコトも古くなっていく。 そんな振り返ることって割とないのかもしれない。 記憶に残しておきたいなぁ。2022/12/03

hitotak

9
戦後日本の家庭料理の変遷について書かれている。昭和後期に女性が就労することにより料理に時間がかけられなくなり、家庭料理の継承が成されなかった事、デパ地下の隆盛や外食産業の発展による多様な味・食材の普及から一気に西洋化し、見栄えの良い料理がもてはやされたことなど、最も身近な「食」に関する事だけにその時々の記憶も蘇り、納得できる箇所がいくつもあった。懐かしく感じたのは赤毛のアンなど外国児童文学に出てくる料理を素敵なイラストと共に紹介するメルヘンなレシピ本。眺めるだけで満足して料理はしなかった事など思い出した。2020/12/07

てくてく

8
家庭料理の戦後史みたいなもの。著者の小林カツ代さんたちに関する新書を先に読んでいたので、ああ、ここから発展したのかということがわかって面白かった。家庭料理が実際には料理を親から継承してこなかった人たちによって新たに作られたこと、ドラマやマンガなどに描かれる料理ができる女性への評価、そして男性も料理を日常的に行うことで、レシピなどに変化が生じたことなどをまとめていて楽しかった。2020/06/25

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