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内容説明
2007年7月、TOKYO FMでスタートした未来に残したい文学遺産を紹介するラジオ番組『Panasonic Melodious Library』。パーソナリティをつとめるのは、『博士の愛した数式』『猫を抱いて象と泳ぐ』など独特の美しい物語世界をつくりだしてきた、作家の小川洋子さん。小川さんは「この番組は文学的な喜びの共有の場になってくれるのではないだろうか」と考え、出演を決心されました。本書は、このラジオ番組の一年分の放送をもとに再構成したものです。人間が虫になることより、さらに不気味な不条理を描いている『変身』(カフカ)、言葉ではできないことを言葉で書いた『風の歌を聴け』(村上春樹)、生産性のない、無目的な旅が持つ自由を綴る『阿房列車』(内田百けん)、「自分のために詠まれたのでは」と思える歌が必ずある『万葉集』など、計52作を紹介。若い人にとっては最高の文学入門、「本の虫」を自認する方にとっては、新たな発見が必ずある作品論です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
305
小川洋子さんの読書案内。ラジオ番組の文字化らしい。全部で52冊(既読は30冊)。まえがきに「相手が同じ本を読んでいれば、話はいっそう盛り上がるでしょう。たった1冊の本で、ほかでは得られない一体感を味わうことができるのです」とあるが、これは全く読書メーターそのもの。そして、彼女は作家としてきわめて優れていると同時に、また練達の読者でもあることがよくわかる。とりわけ目を開かれたのがカフカの『変身』において、人間と労働の関係に着目しているところ。しかも、それを「報われない不幸な関係」として見事に喝破している。2015/02/05
ハイランド
127
日曜日の朝、ラジオから流れる「Melodious Library」。古今東西の小説を毎週一冊、小川洋子氏が紹介してくれる番組の一年分を掲載した一冊。困った、どんどん読みたい本が増えてくる。既読の本の紹介でも、新たな視点を提示してくれるから聞き逃せない。『銀河鉄道の夜』の紹介で「ほかの作家たちが手をとりあって星座の形をなしている中で、賢治だけは誰とも手をつなぐことなく、孤塁を守って、まったく独自な視点で小説を書いた人」とある。現役の小説家だからこその美しい表現。読む本は増えるけど次は「みんなの図書室」かな。2018/11/28
シナモン
100
小川洋子さんが紹介する未来に残したい文学遺産52編。文学遺産だけあって名作揃い。なのに名前は知ってるけど読んだことのないものだらけで自分が情けなくなる。来年は本書を携えて一冊一冊読んでいきたい。2024/12/16
おいしゃん
95
選書が素敵!小川洋子さんのラジオ番組を書籍化した本だが、優しく語りかけるようなそれぞれの本の解説が、いい。さらに本に合わせたBGMの選曲も面白い。調べたら、今でも毎週日曜に、東京FMで放送中とのこと。よし、早速聴いてみよう。2015/02/26
AKIKO-WILL
79
小川さんがラジオで四季に合わせて13冊ずつ計52冊を1年間で紹介したのを文庫化したこの本!選んだ本も多岐にわたり、日本文学や外国文学、絵本、古典など範囲も広いです。52冊のうち5冊位しか読んだ事ないけど、読んだ事ない本はもちろん一度読んだ本でも小川さんの解説に再び読みたくなる。小川さんもオススメした武田百合子さんの『富士日記』が気になります。やはり好きな作家さんがオススメする本は外れはないはず。読みたい本が増える一方です。2016/03/01