内容説明
エルマたち第一火星探検隊のクルーは、宇宙ステーションでの訓練を終え、火星へと旅立った。有人宇宙船二隻に乗りこんだ各国からの十四名が、コロニー建設に向け、探査を行う計画だ。だが、旅の序盤でのトイレの故障に始まり、メンバー間の軋轢や火災、感染症などつぎつぎとトラブルが発生。そしてついに死者が出てしまった―有人探査が実現したもうひとつの宇宙開発史をつづる改変歴史SF第二弾。解説/鳴庭真人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はるを
77
🌟🌟🌟🌟☆。火星へ向かう船の中で感染症が発生したり船の故障で計2名の乗組員が生命を落としてしまう。その他人種差別等の理由で諍いが絶えなかったりで火星へ着いたは良いが全員死んでいた、なんて事も充分考えられる程その道のりは長く険しい。途中、地球とも50日以上交信不能に陥った時にはいよいよ絶望的な気持ちになった。果たしてファイナルフロンティアは見つかるのだろうか。また、宇宙移民出来る者と地球主義者とどちらが本当に幸せなのだろうか、と考えてしまった。読み終えるのが草臥れるけれど面白かった。2022/10/13
ぐうぐう
31
火星への長い旅。国籍の違う14人のクルー達。彼ら彼女らを乗せた宇宙船内は、いわば世界の縮図だ。そこで起こるいざこざは、つまり現代で起こっている諸問題を照らし出す。そして、メアリ・ロビネット・コワルは、良くも悪くもそれらを起こす人間を物語の駒としてではなく、きちんと血の通った生き物として描いている。そこに胸打たれる。それにしても、隕石落下による気候変動というタイムリミットが迫っているとはいえ、人類が本気になって宇宙開発に挑めば、(つづく)2023/03/16
fukumasagami
30
巨大隕石落下による気象変動で地球からの脱出を計るため、宇宙進出を加速させた人類、1962年に火星への有人飛行を行う。現実の人類はいつどのように実現させられるのだろう?2021/08/21
わたなべよしお
25
なんとも言えず面白い。変な表現だが、ついつい読んでしまう。所謂、SFの醍醐味っていうのはないんだけどなぁ。それでも、読んでしまうし、続編も楽しみにしている。2021/08/13
tetsubun1000mg
20
時代設定が1960年代で、当時の技術で月や火星にロケットを飛ばして基地を作るという設定でSF 作品を書くなんてよく思いついたなあ。当時の人種差別問題が沸き起こってきた状況を上手く絡めながら現代に残る人種差別、ジェンダー問題を描いて、この本を読む現代人にも共感を起こさせる。 無重力のロケット内、基地衛星での生活を綿密に描くことでまるで読者にも宇宙船での無重力状態を経験させているように感じさせる。 ほとんど面識のない隊員間の感情のやり取りを細やかに書き上げており長編映画を見た気になるのだがSF感は少ない感じ。2021/08/24