内容説明
二千年以上にわたり重ねられてきたインドの思想的営みから,私たちは何を学ぶことができるのか.世界のなりたち,存在と認識,物質と精神,業と因果,そして言葉それ自体についての深い思索の軌跡を,具体的なテキスト読解をふまえながら学ぶ.難解と思われがちなインド哲学のおもしろさと広がりをとらえる,刺激的な入門書.
目次
講義をはじめる前に┴第1講 インド哲学のはじまりと展開 ウッダーラカ・アールニの登場┴第2講 存在と認識 新しい思想家たち┴第3講 存在の根源 「一者」をめぐって┴第4講 二元論の展開 サーンキヤ派┴第5講 因果論と業論 世界を動かす原理┴第6講 現象と存在 シャンカラの思想┴第7講 生成と存在 「なる」と「ある」の哲学┴第8講 言葉と存在 言葉はブラフマンである┴第9講 存在と非存在 言葉と普遍┴第10講 超越と存在 ヴァイシェーシカ派とニヤーヤ派┴あとがき┴略年表┴読書案内
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まえぞう
21
存在とは何か、どう正しく生きるかの哲学の二つの柱のうち、前者についての考え方をインド哲学についてみたものです。内容はとても抽象的に2割も理解できませんが、頭の体操にはなったような感じがします。2026/05/11
かふ
21
10講がインド哲学史の簡潔な紹介ではなく(第一講は「インド哲学のはじまりと展開」なのだが)、それぞれ西洋哲学に出てくる「存在と認識」「存在の根源」「二元論の展開」「因果論と業論」「現象と存在」「生成と存在」「言葉と存在」「存在と非存在」「超越と存在」と展開していく「一(神)者と存在論」でかなり奥が深い。よく整理されていると思うがそれでも行ったり来たり迷うこと必死で神を見失いそうになる。初期は秘伝だったわけで言葉にするだけで呪われていたりしたのだ。ジャイナ教とか仏教が出て構造改革が進み様々な解釈が出てくる。2020/01/19
∃.狂茶党
20
インド哲学入門書。 哲学的な考えが紹介される中、バラモン教の、営利的な教えが目を惹く。 宗教的な要素を配して、講義が続くが、終盤には神の関与が触れられる。 あまり人格神としての扱いはないが、スピノザを思い出す。 (本文中でもスピノザに触れてます) 新書であり、値段もページ数も手頃ながら、きちんと入り口を示し、ブックガイドも付属している。 良い入門書だと思います。2026/03/26
koji
16
著者は、まず哲学的思考と神話的思考を定義します。哲学的思考のKeyWordは、普遍的原理、抽象的概念、論理的な思考、世界の成り立ちです。これを本書では、ヴェーダからウパニシャッドに至り、その伝統を保持した6つの学派、もう一つ文法学派をもとに説明します。「正しい生き方」は語らず、存在を問います。精緻な議論が展開され難解さはありますが、私なりの理解では、インドでは、存在においでも、常に神と業(カルマ、人が前世においてなした行為を後世で引き受けること)の問題がつきまとうことに特徴があります。深遠です。2019/01/06
cape
15
インドにある重層感は他の国では味わえない。混沌としたカオスのような中に、粉塵と共に漂う薫り。深い歴史と人間の営為の重なりが、文化となって現在の一地点をなしている。この不思議な国の成り立ちに、千年単位の神話的な哲学思想があることがわかる。根源一者ブラフマンから、存在と非存在、転変、言葉が問い直され、この世界のありかをこんなにも古くから議論していた事実。インド哲学10の講義は、内容自体は難解だが、一般向けに平易な解説に努めていて、なんとかついていける。深く考えさせる行間に、インドの薫りが漂う。2019/10/17
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