内容説明
禁欲的知識人=定信の倒錯した自己顕示欲、徂徠による政治の虚構性の暴露と絶対的な「聖人信仰」、東湖を殺めた安政大地震期に水戸藩が暴走した理由、慊堂と弟子ネットワークなど、武士的社会の内実を読解。秋成の欠損した指と自意識、源内の山師的精神の背景、銅脈先生の酔生夢死的生活を活写し、江戸時代人の精神構造の前近代性と現代性に迫る。(講談社学術文庫)
目次
学術文庫版はしがき
I プロローグ
松平定信の暗い「昼」
II 武士的なるものの内景
徂徠政治学の原点
徂徠のアジビラ
松平外記一件始末──化政期精神風土の一断面
生きがいを見つけた旗本──遠山金四郎・大田蜀山人
思想的党派者の悲劇──藤田東湖
藤田東湖の死
III 江戸文学の光と闇
江戸人の六つの夢
自意識と癇癖──諷刺家上田秋成
酒鬼登僊──銅脈先生補伝
源内の笑いと現代の笑い
花の名は人めきて──萩原広道と本居宣長
IV エピローグ
文政リべラリズムの終焉
初出一覧
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
5
1984年初出。『花月草子』(25頁~)は雅文体でひらがなが多い。人心の動揺は自然災害を原因として発生し、政治経済の人為的要因が加速し、拡大する(45頁)。それはそうだ。噂や風評、デマも恣意的なケースもある。松平定信は、倹約令や物価引下令、で、物価は法令制御できると考えていたようだ(62頁)。物価は市場原理であるのだが。化政度文学は、死と笑、残忍と諧謔、恐怖と滑稽という、相反要素の共存が特徴(131頁)。面白い。上田秋成の想像力のダイナモは、癇癖(くせ)であり、これは自意識の核心で自他の弁別(209頁)。2013/05/18
でろり~ん
1
つまらない一冊でした。人間の捉え方が一面的に過ぎるような感じ。以前から言われている人間性に違う面からの指摘を、っていう狙いなのかもですけど、面白さ皆無。いろいろ文学賞をもらっている人みたいなんでうけどねえ。2024/09/17
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