岩波文庫<br> 国語学史

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岩波文庫
国語学史

  • 著者名:時枝誠記
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  • 岩波書店(2021/07発売)
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  • ISBN:9784003815045

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内容説明

日本語とはいかなる言語か? 『万葉集』『古事記』の注釈や,「てにをは」の役割,仮名遣いや表記法など,平安から明治期までの長い歴史のなかで,文人・国学者らが捉えてきた日本語の姿を明らかにする.西洋から移入された言語学の枠組みではなく,自前の「国語学史」から日本語の本質に迫らんとする時枝誠記(1900―67)の高らかな宣言とその豊饒なる成果.(解説=藤井貞和)

目次

はしがき┴はしがき(第十四刷改版)┴第一部 序説┴一 「国語」の名義┴二 国語学の対象┴三 国語学と国語学史との関係┴四 国語学史編述の態度┴五 明治以前の国語研究の特質と言語過程観┴六 国語学史の時代区劃と各期の概観┴第二部 研究史┴第一期 元禄期以前┴イ 古代日本民族の国語に対する信仰┴ロ 古典の研究(解釈を目標とする語学)┴ハ 歌学ならびに連歌の作法(表現を目標とする語学)┴ニ 漢字漢語の学習ならびに悉曇学┴第二期 元禄期より明和安永期へ┴イ 上代文献の用字法の研究┴ロ 仮名遣の研究 語義の標識としての仮名遣観┴ハ 語義の研究 本義、正義の探求┴ニ 語法意識の発達┴第三期 明和安永期より江戸末期へ┴イ 用字法研究の展開┴ロ 仮名遣の研究と新仮名遣観の成立┴ハ 語義と文意の脈絡とについての研究┴ニ 語法研究の二大学派┴ホ 鈴木朖の両学派統一 用言の断続の研究┴ヘ 本居春庭の活用研究の継承と展開 用言における段の発見┴ト 僧義門の活用研究の大成 用言における活用形の成立┴チ 中古語法の研究と上代文献学との交渉┴第四期 江戸末期┴イ 語の分類の研究┴ロ 音義言霊学派┴ハ 語法研究の継承┴ニ 和蘭語研究と国語に対する新考察┴第五期 明治初年より現代に至る┴イ 国語国字改良の諸問題┴ロ 改良問題の調査機関と国語研究┴ハ 文典編纂の勃興┴ニ 口語文典の編纂と方言調査┴ホ 辞書の編纂┴ヘ 言語学の輸入と国語研究上の諸問題┴註┴著者著述目録┴解説(藤井貞和)『国語学史』と『国語学原論』┴索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

Happy Like a Honeybee

8
ソシュールなどを読む前に、日本における国語学について学ぶ。 江戸期より活発化した国語。 時枝氏により細かい時代区分化され、各時代における特徴を述べている。 岩波講座を書籍化したため、しっかりした構成となっている。 現代でも解明されていない、いろは歌の作者。 晩年期における吉本隆明氏との論争。 学術的なため関心がない人には厳しい内容であろう。 2018/04/03

大臣ぐサン

3
「日本語」史ではなく「国語学」史という観点が自分にとってはとても新しい発見だった。なるほど、今まで「国語」という言葉に何の疑問も持たなかったが、国語はあくまで国語であって、決して日本語とイコールではない。この本は戦前に書かれたものであるから戦後の国語に関しては全く触れられていない。作者が敗戦後の国語教育をどのようにとらえていたのかとても気になる。2020/08/15

miyuki

3
言語、殊に日本語を考えるとはどういうことかについて、近代に成立したような言語学観――つまり西洋の言語理論をいかに当てはめるか――ではなく、零からことばの在り方を吟味して研究されてきた明治以前の伝統的な日本の語学研究、学説が、いかなる時代にどのような発想や影響によって出現してきたかを、史的に辿っていくことで説き明かそうとする本。近代以降文法、音韻、仮名遣いなどといって呼び習わすそれらが、いかなる発想から発見され研究されて、成立してきたかについて、時代ごとに明確な概念把握の違いがあったことに気づかされた。

yutaro sata

2
国語学の研究史を時枝さんがまとめた本。有難いですね。2022/04/24

あすかい

1
西洋言語学によって発見されたある種の文法的現象を普遍とみなし、分析される言語にその文法と対応する事柄が存在することを前提とした態度に疑問を感じていたところ、たまたま手にしたこの本がそうした西洋言語学を輸入した分析態度と対立する、日本の言語学の歴史を基にした言語本質観を提示しており非常に参考になった。著者の方法論についてはいくつか分からないところもあったが、国語学(言語学)は何よりもまず対象に対して発見的態度をもって臨まねばならないという氏の思想については全面的に同意したいと思う。2017/11/17

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