内容説明
ドイツ軍機甲部隊がパリに迫るなか、ルイーズはまだ見ぬ兄の行方を求めて、レストランの店主ジュールとともにパリを脱出する。だが、ロワール方面へと向かう道は避難民であふれ……パリ陥落目前の1940年6月、脱走兵ガブリエルとラウール、機動憲兵隊曹長のフェルナンとその妻アリス、いかさま神父デジレなど、戦火にもてあそばれる人々による息もつかせぬ群像劇! 『天国でまた会おう』『炎の色』に続く第3部堂々完結!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
216
全三部作、2,000頁弱、完読しました。フランスの戦時下の大河人間ドラマ、ミステリ的要素は、少なめです。読み応えはありますが、フランス人の歴史的バックグランドがあった方が理解しやすい気がしました。個人的には『その女アレックス』のようなミステリの方が好みです。 8月は、本書で読了です。2021/08/31
のぶ
82
下巻に入り、読み進むうちに忘れていた前二巻の内容がわずかだが蘇ってきた。「天国でまた会おう」の頃は、第一次世界大戦の時代で、ルイーズもまだ幼かった。そんなルイーズも30歳。本作では群像劇とはいうものの、物語はルイーズを中心に展開する。二次大戦が激しさを増し、ドイツ軍機甲部隊がパリに迫るなか、ルイーズはまだ見ぬ兄の行方を求めて、レストランの店主ジュールとともにパリを脱出する。しかし、ロワール方面へと向かう道は避難民であふれ、思わぬ運命がルイーズを待ち受ける事となる。単独でも楽しめる良くできた作品。2021/08/14
yumiha
46
下巻は大脱出(エクソダス)。TVに映し出されたウクライナから逃げ出す渋滞の車列や徒歩で隣国へ向かう人々の姿と重なる。パリの〈無防備都市宣言〉は知っていた。かつては首都を捨てるなんて!と思ったのだが、おかげで貴重な文化財を残せたのかもしれないと思い直す。驚いたのは、1000人以上の囚人までフランス南部へ移送した事実。その中にガブリエルやランドラードがいた。また、それを追って我らの(?)ヒロイン、ルイーズまで加わる。平常時だって、赤ちゃん3人との日々は大変なのに、それをルイーズは抱え込んでしまった…。2022/02/26
本木英朗
32
ドイツ軍機甲部隊がパリに迫るなか、ルイーズはまだ見ぬ兄の行方を求めて、レストランの店主ジュールとともにパリを脱出する。だが、ロワール方面へと向かう道は避難民であふれ……。パリ陥落目前の1940年6月、脱走兵ガブリエルとラウール、機動憲兵曹長のフェルナンとその妻アリス、いかさま神父デジレなど、戦火にもてあそばれる人々による息もつかせぬ群像劇!という下巻である。うーん、やはり1作目・2作目に比べると、ちょっと俺には悪かったかなあ。それでもいいけれどさあ。とりあえず以上です、はい。2021/12/05
アプネア
27
難民が押し寄せ、パリにはドイツ軍が迫る。人々が恐慌をきたすなか、「囚人たちの大移動」という現実にあったエピソードが下敷きになっている。たしかに、どこに連れて行かれるかわからないロードノベルの臨場感があり。バラバラに配置された男女が、互いの運命に影響を与えながら、同じ時間と場所に、収斂する構成は良かった。作中、戦争によって名もなき弱者が、いわれなき悲劇に見舞われるが、そんな中でも、弱者を切り捨てない人間の本質を描きたかったのかな〜。2021/08/30