骨を撫でる

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骨を撫でる

  • 著者名:三国美千子【著】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 新潮社(2021/06発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784103526629

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内容説明

「きょう日、みな金、金、金や。けったくそ悪い」どの家にもそれぞれ汚点となる人間がいた。そこから家族にがたがくるのか、家族にがたがきているから勝手をする人間が出てくるのか。わりを食うのは優しく、弱い立場の人間だ――。土地と血縁に縛られ、しぶとく、したたかに生きる人間の姿を描き出す表題作ほか一篇収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイト

60
初めましての作家さん。『骨を撫でる』あらすじ通りの話だった。どこにでもあるお金に執着する人達。帯の言葉は読んで何となく分かった。『青いポポの果実』えー!同じ作家さんが書いたとは思えない作風だった!覗いていたのに覗かれていた家族。【ポポ】て隠語?大人の階段登る少女の話·····2021/08/23

クリママ

50
2編の中編。表題作は登場人物の名こそ違うものの「いかれころ」の続編か。ただ「いかれころ」は4歳児の率直な目線で書かれ、河内弁とともに農村の旧家の息苦しさを見事に表していたが、こちらは凡庸だった。「青いポポの果実」は純文学の領域か。自分を僕と呼ぶ小学校5年女の子と1年生の妹。性に関する生々しいその見聞きしたこと、体験への言葉があまりに賢すぎる。家族も隣家も先生も異様だ。大人になってからの部分で文章も平易になって、やっと長女の屈折した思いとわかり安堵する。印象深い作品であるものの、どう受け止めたものか。2022/09/18

よこたん

48
“止めときて私、せんど言うたのに” 古い台所の、流し台のボウルの中に干しエビが沈む素麺のつゆの、ちょっと甘めの匂い。私にとっても実家の匂いの一つである。母屋、分家、暮らす場所は離れても、身体は土地に絡め取られ、どこへも行けず、近所の好奇の目も煩わらしい程に光る。どもしゃない身内と、それを助長させて今まで来てしまった家族。程度の差はあれ、まあどこにでも転がっている話。大阪外環状線、PL病院は実在。羽日ヶ丘はたぶんあの辺りか。表題作は『いかれころ』の近所のよう。「青いポポの果実」全く毛色が違っていてビックリ。2021/08/10

ぷく

21
背筋からぞわぞわと得体のしれないものが這い上がってくる。あまりの不快感に途中で投げ出したくなる。それでも私は 見届けないと と思う。私が見届けなかったら誰がふき子の骨を撫でさすってやれるのだと思う。どこかにある、いや、どこにでもある、同じ水を綿々と飲み続けてきたもの同士のつながり。煩わしく重すぎる縁。幼いころのマウントはいくつになっても逆転することはなく、それはただ憂うためだけのもので、ため息と一緒にまたその土地に降り積もる。気が付いたら骨は曲がっている。泥に足を取られ、誰かに撫でられる日を待つしかない。2021/10/09

真琴

10
「骨を撫でる」と「青いポポの果実」の2作品。ピンと張った空気から来る緊張感、ゾクゾク、ゾワゾワ感がこみ上げてくる。どちらかと言うと負の感情を抱きがちな作品ですが、それでも読ませる力がある話。「骨を」は、「家」「血」「土地」などという田舎特有の閉塞感のあふれる環境で生きる人たちの話。「青い」は大雑把にいうと幼年期・成熟期の生と性の話。どちらも、「ああ、この人たちにとっては生き辛いのだろうな。どうにかならないのかな」と思いながら読んだ。読後感は悪いのですが、気になる作家さんです。 ★★★★☆2021/10/14

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