内容説明
運命は、変えられる――
愛をめぐる、タイムスリップ・ミステリー
父が殺された。姉は事件をきっかけに恋人と別れ、望まぬ結婚をした。父が殺される数日前にタイムスリップした僕は、姉の元恋人である少女とともに父の死の真相に迫るが……。
僕らは殺人をふせぎ、“あの日の恋”を果たせるのか?
家族の愛と性を優しくも切なく描いたタイムスリップ・ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
58
突然27年前にタイムスリップした40男が、当時14歳の姉の同性愛相手と、父親が殺害された謎を解く…という、SFミステリ(?)。概要だけ書くと荒唐無稽過ぎますが、それなりに理屈は通っています。父親の殺害された日が迫る過去の現場にタイムスリップした主人公。将来別れることとなる姉の恋人の謎解きにより、不可能殺人を起こした真犯人を知る…という展開です。トリックはアンフェアと言わせないよう、伏線が張りめぐらされています。過去に戻った主人公は、殺人を止めることができるのか…。オチはもう一つひねりが欲しいところです。2023/04/26
へくとぱすかる
52
読メ登録以前からの、久々の西澤作品。なぜ作中現在が2000年なのかと思ったら20年前の作品。タイムスリップは、さらに過去に食い込む。驚きは、タイムパラドックス(の一部)の解決を、ごまかさないで視覚的に(文章で)見せてくれること。こんなの初めて読んだ! 広瀬正が戦前の東京を描いたように、著者は家族の愛と性を、タイムトラベラー視点で掘り下げる。性的少数者の描き方が、今なら教科書的と見えるかもしれないが、発表時はミステリとしてかなり進んだ作品と思われたかも。過去改変テーマの意外な点をついている点、評価したい。2022/03/02
しゅてふぁん
52
父が殺された数日前にタイムスリップした影二。姉の元恋人と共に父の死の真相に迫るタイムスリップ・ミステリ、ということらしいけれど、ミステリというよりは同性しか愛せない姉と衝突する父、家業を継げない影二という家族の物語だった。ミステリっぽくなかったのは残念だったけど、タイムスリップした理由や結末が気になってわくわくしながら読んだ。20年前に出版された『異邦人fusion』の改題作品。2021/07/17
ひさか
24
2001年10月異邦人fusion集英社刊。2005年1月集英社文庫化。2021年5月改題してコスミック文庫刊。内容を表す長いタイトルが面白そうなので手に取りましたが、20年前の作品にしては古さは無く、タイムスリップルールの工夫もあって楽しめました。牧村朝子さんの文庫解説が尖っていて面白かったです。西澤さんの他の作品も読んでみたくなりました。2021/07/30
hnzwd
22
西澤保彦のタイムスリップ物なのでハズレは無いと思いましたが、、ちょっと期待値高すぎたかも。面白かったのは間違いないし、この時代にフェティシズムの最先端なのはすごいけど。2022/07/21