筑摩選書<br> 紅衛兵とモンゴル人大虐殺 ――草原の文化大革命

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筑摩選書
紅衛兵とモンゴル人大虐殺 ――草原の文化大革命

  • 著者名:楊海英【著】
  • 価格 ¥1,815(本体¥1,650)
  • 筑摩書房(2021/06発売)
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  • ISBN:9784480017260

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内容説明

文化大革命で、中国政府は内モンゴルのモンゴル人34万6000人を逮捕し、2万7900人を殺害した。実際には30万人が犠牲になったとの調査もある。このモンゴル人虐殺に、毛沢東の中国政府は、学生たちを中心とする紅衛兵を使った。彼らをジェノサイドに駆り立てたものは、いったいなんだったのか。ほとんど公開されていない『紅衛兵新聞』などの貴重な一次資料をもとに、内モンゴル出身の著者が大虐殺の真相を解明し、世界から無視されてきた文化大革命の負の側面に光を当てる。

目次

プロローグ 本書の目的と構成
序章 文革研究の現状が示す世界の中国認識
1 欧米と日本にとっての文革
2 紅衛兵新聞とは何か
3 紅衛兵新聞が反映する文革期の思想的潮流
4 毛沢東と紅衛兵新聞
Ⅰ 学生造反派の民族観と思想
第1章 内モンゴル草原の造反派と保守派
1 誰の「人民」、どこが「祖国」?
2 北京を模倣した造反
3 党中央の前に立ちはだかる草原の造反派
4 政府が撒く民族間対立の種
第2章 造反派新聞が描く初期文化大革命
1 民族問題と国際問題への関心
2 天帝崇拝と擬似女性化
3 批判運動の深化
4 造反と保守の衝突の中のモンゴル人批判
5 解放軍の進駐とモンゴル人の災難
第3章 「フフホト市第三司令部」の誕生
1 太陽神の彼女
2 中央政府に支持されたウラーンフー批判
3 否定されるモンゴルの近現代史
4 全国紙への道
第4章 煽動されたジェノサイド
1 民族全体を攻撃する手法
2 大量粛清のスタート
3 氾濫する「太陽神」崇拝
4 発見された「反革命勢力」
第5章 内モンゴル人民革命党員の粛清
1 造反派と滕海清将軍
2 逃げ道のないモンゴル人
3 「内モンゴル人民革命党粛清」任務
4 捏造された内モンゴル人民革命党の歴史
第6章 暴力と抗争、そして動揺
1 モンゴル人の抵抗
2 植民地たる内モンゴル
3 異端への転落
4 造反派の二面性
第7章 消滅される造反派
1 信用されなかった造反派とモンゴル人
2 毛沢東の「ブラック・ハンド」
3 造反しない『紅衛兵』
4 造反派の弱い反撃
5 毛沢東の著作とモンゴル人の「罪」
6 動揺に動揺を重ねる
第8章 第九回全国党大会の開催
1 党大会に花を供える
2 情勢の変化と造反派の反応
3 紅衛兵運動の「正しい方向」
4 『呼三司』への回帰
Ⅱ 労働者と知識人、農民の造反
第9章 立ち上がる労働者
1 労働者の思想たる『工人戦報』
2 工人の風雷
3 工人の政治任務はモンゴル人粛清
第10章 知識人の『魯迅』と『新文化』
1 ぎこちない『魯迅』
2 揺れ動く「知識分子」
3 文化が創出する暴力
4 民族全体の潰滅を狙った「文化」
第11章 暴力の総結集
1 農村の『農民運動』
2 暴力を総結集した『聯合戦報』
3 「モンゴル帝国の復活」
4 都市から草原、農村への拡大
5 大虐殺の「革命的功績」
第12章 モンゴル語の中国的変容
1 言語の問題は祖国の問題
2 国家主導の翻訳
3 中国の政治言語に中毒したモンゴル人
第13章 加害行為が物語るジェノサイドの規模
1 「のし上がった幹部」たちの罪
2 加害者陣営の様相
3 分割統治と強制移住
4 社会に根を下ろした加害者たち
エピローグ 「夷を以て夷を制す」現代中国
謝辞
参考文献