海外ルーツの子ども支援 - 言葉・文化・制度を超えて共生へ

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海外ルーツの子ども支援 - 言葉・文化・制度を超えて共生へ

  • 著者名:田中宝紀
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 青弓社(2021/06発売)
  • ポイント 20pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787234889

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内容説明

日本で生活している海外ルーツの子ども10万人のうち、1万人が日本語教育などの支援がない無支援状態にある。こうした無支援状態の子どもたちや、自治体による支援制度の対象にならない子どもたちは、主に地域ボランティアが運営する日本語教室などでサポートを受けてきた。支援者らは日本語を教えるだけでなく、外国人保護者に学校の「おたより」をわかりやすく説明したり、困りごとの相談に乗るなど、外国人と地域・情報とをつなぐ「仲介役」を担ってきた。

しかし、新型コロナウイルスのためにその活動が休止を余儀なくされるなか、情報弱者になりやすい外国人や海外ルーツの子どもたちの支援が空白になりつつあり、地域社会にも大きな影響を与えている。
平時から、義務教育の対象外であることや、支援体制の整備の遅れなどから教育機会へのアクセスが限定的になりやすい海外ルーツの子どもたちにとって、現在の事態は教育機会の一層の断絶につながりやすく、リスクが高い状況にある。

日本語を母語にしない子どもたちへの支援活動を続けている著者が、支援現場の実態と提言をまとめる。ともに生きる未来をめざして!

目次

はじめに――ともに生きる未来へ:海外ルーツの子ども支援の現場から

第1章 海外ルーツの子どもを取り巻く環境
 1 共生社会に近づくために――あらためて考える「海外ルーツの子ども」という呼び方
 2 不十分な受け入れ体制――自治体間格差と担い手不足
 3 在留許可が出ない理由を知りたかったけど――日本出生のタイにルーツをもつ高校生、上告取り下げ

第2章 海外ルーツの子どもへの日本語教育の必要性と課題
 1 日本語指導を必要とする子どもたちはいま
 2 高校進学率七〇%という現実
 3 ダブルリミテッド――日本語も母語も“中途半端”な子どもたち
 4 海外ルーツの子どもと発達障害

第3章 「受け入れ体制の整備」から「共生社会の基盤づくり」へ
 1 言葉を学ぶ権利(言語権)の保障に向けて
 2 「外国人保護者は教育に無関心」は本当か

第4章 海外ルーツの子どもの課題解決に求められる多面的支援とは
 1 外国人の子どもの教育機会保障に必要なこととは
 2 海外ルーツの子どもたちの貧困
 3 所属なき言語難民――「既卒」のティーンエージャーたち
 4 海外ルーツの「呼び寄せ」の子どもと家族再統合
 5 外国人保護者の出産・子育て支援にサポートを

第5章 多様な人々がともに生きる社会へ
 1 子どもや外国人にもわかりやすく――NHKの津波警報で注目の「やさしい日本語」とは
 2 ことばのバリアフリー
 3 二〇二〇年代の新成人たちへ――共生社会に向けて若者こそが担える役割とは
 4 専門家による教育支援事業YSCグローバル・スクール

コラム 当事者の声を聞く
 学校ではしゃべらない。日本社会の片隅で孤立する「海外ルーツの子どもたち」

むすびにかえて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ネギっ子gen

30
海外ルーツの子どものうち、1万人以上が無支援の状態にある日本の現状。ボランティアによる日本語教室の活動にも限界が迫る中、日本語を母語にしない子どもたちへの支援活動を続けてきた経験に基づいた現場の実態と提言。<情報弱者になりやすいマイノリティーを無視した対策は、当事者を一層追い詰めるだけでなく、地域全体にその影響を及ぼしうるものです。現在のような非常時にこそ、地域の多様性から目を逸らすことなく、ともにこの事態を乗り越えられるよう、地域全体で知恵を出し合い、必要な配慮や対策を講じていくことが大切>と。同感。⇒2021/09/25

Go Extreme

3
海外ルーツの子どもを取り巻く環境: 共生社会に近づくために―海外ルーツの子どもという呼び方 不十分な受け入れ体制―自治体間格差と担い手不足 在留許可が出ない理由を知りたかった―日本出生のタイにルーツをもつ高校生、上告取り下げ 海外ルーツの子どもへの日本語教育の必要性と課題: 日本語指導を必要とする子どもたち 高校進学率70% ダブルリミテッド―日本語も母語も中途半端な子どもたち 受け入れ体制の整備から共生社会の基盤づくりへ 海外ルーツの子どもの課題解決に求められる多面的支援 多様な人々がともに生きる社会へ2021/07/15

安土留之

1
日本政府が外国人労働者を受け入れるようになった。人口減少を補うためであるが、親と一緒に来た子どもたちは、母国語も日本語も不充分な、ダブルリミテッドになってしまうことが多い。本書はそんな子どもたちへの日本語教育を行っている著者の実体験に基づいた本。 淡々と叙述しているが、の裏に著者の情熱を感じ、感動した。「我々は労働力を読んだが、やってきたのは人間だったという言葉が重い。  本来、国民教育として始まった教育制度が、グローバル化のなかでどうあるべきか、一石を投じている。2024/07/10

にわけい

1
【海外ルーツの子どもたちに関わる現場の声、現状、展望がまとめられた一冊】 海外ルーツの子どもたちへの支援を長年続けてきた田中さんの著書。この本の何が貴重かって、現場で支援してきた人の感覚や経験が書かれていること。言語と成長に関して(例えばバイリンガルの教育)は実験ができないためだ。 またコロナの前からオンラインと対面のハイブリット授業、クラウドファンディングでの資金調達、広報活動などやっていてすごい。テキトーなボラ団体ではなく、こうしたプロフェッショナル集団がもっと注目されて欲しい。2021/06/06

えゆ

0
この先、日本に住む外国人は増えるはず。海外ルーツの子どもも増えるはず。確かに移民との共生には、言葉の壁をなるべく無くすとか異文化の理解とか、必要なことはたくさんあると思う。が。 どうしても、なんで日本に来たのかなぁ。永住者とその家族ならまだしも、なんで日本で自分の暮らしもままならない人が家族呼び寄せて「困ってます、助けてください」ってなるんだろう。日本で不安定な暮らしするなら、母国に帰ればよくない?母国で暮らせない事情ってなんなんだろう。とかモヤモヤしてしまった。 こんな考え方をしていてはダメなのかなー。2022/10/29

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