内容説明
■目次
第1章: 大阪の地下鉄はこうして発展した~路面電車からリニア地下鉄まで~
コラム1:牛で・つるべで・クレーンで……地下鉄はどうやって運んだ?
コラム2:地下鉄が市民の命を救った……大阪大空襲があった夜
第2章: 大阪の地下鉄、実はこうだった
コラム3:「赤色は動脈」ラインカラーに込められた意味とは?
コラム4:駅のメロディや荘厳な警笛 いろんな「音」に注目
コラム5:天六、谷九……地名を略したのは市電がきっかけ?
第3章: Osaka Metroのここに注目!
コラム6:地上に/市外に……地下鉄の車庫はここにある!
コラム7:これも、あれも……大阪が生んだ“日本初”
第4章: 民営化で変わったこと・変わらなかったこと
コラム8:民営化で変わったマーク・変わらなかったマーク
第5章: これからの“大阪の地下鉄”はどう変わるのか
■著者紹介
伊原 薫(いはら かおる)
1977年大阪府生まれ。2013年より鉄道ライター・カメラマンとして本格的に活動を開始。鉄道・旅行雑誌や書籍、Webニュースなどで執筆するほか、テレビ番組への出演や監修など幅広く活躍する。鉄道に関する知識を活かして「日本の交通政策を磨いていくこと」を志し、2012年、京都大学大学院認定の都市交通政策技術者となった。執筆活動のかたわら、コミュニティバスの計画・運営に関するアドバイス、地方鉄道や都市の再生に向けた提言など精力的な活動も行っている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
86
鉄道マニア向けの本だろうが、私は、大阪の都市論、公営事業の民営化論として、この本と向き合った。私鉄の乗入れや地下鉄との相互直通運転を阻止してきた「市営モンロー主義」の功罪を実感する。それが都市発展の阻害要因だった一方で、道路と地下鉄の一体整備、私鉄と競合しない高運賃、相直がないための車両や検車場の統一など、多くの経営的メリットを享受できた結果が、今回の民営化である。金儲けに厳しい大阪ではあるが、数々の日本初(エレベーター、点字シール、沈埋トンネルなど)を実現した進取の気概を、失わないでほしいと願う。2021/08/30
えすてい
11
大阪市営地下鉄民営化を大阪人がその歴史、サービス、成功事例と将来の展望を綴る。民営化の前提として大阪市交通局と所謂「市営モンロー主義」について述べる必要があり、大阪市営の先進性や先行投資、「市営モンロー主義」の誤解が述べられている。その上で民営化は赤字が主要因ではなく、公営故に「副業」ができず将来の人口減社会には鉄道だけでは生き残れないといい、当初から職員は高い意識だったと「称賛」。いまざとライナーやオンデマンドバスや夢洲延伸計画にも触れてるが、大阪のこの考えが他都市公営に広がるかは未知数だと思う。2021/07/16
のり
2
御堂筋線の主要駅がだだっ広い理由には納得。2025/04/26
だんだん
2
公営、というだけでどうしても後ろ向き、赤字っぽいみたいな、とても勝手な先入観を持っていたが、この本を読んで、本当に外した先入観であることを思い知った。モンロー主義的な思想が結果的に奏功したことなんかも書いてあって、これまでのヘンに抱いていた偏見が色々と解消される感じが読んでいて面白かった。2021/11/30
シバショウタ
1
現在の大阪メトロになるまでの歴史的流れとちょっとしたトリビア。立ち上げ→大阪モンロー主義→私鉄相互乗り入れ→民営化。※よくまとまっているし、細かい話(新大阪のトイレとか)も書かれていて分かり易いが、広く浅く、というよりは深掘りなので、鉄道や地域鉄道会社への強い興味が無いと読むのはしんどい。2021/08/09