講談社文芸文庫<br> ロデリック・ハドソン

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講談社文芸文庫
ロデリック・ハドソン

  • 著者名:ジェイムズヘンリー【著】
  • 価格 ¥2,508(本体¥2,280)
  • 講談社(2021/06発売)
  • ポイント 22pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065236154

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内容説明

芸術に理解をもつ金持ちの独身青年ローランドが、アメリカ・マサチューセッツ州ノーサンプトンの片田舎に住む天才芸術家の卵ロデリック・ハドソンを見いだし、イタリアで大成させようとする過程を、複雑な恋愛模様、芸術家の苦悩、アメリカとヨーロッパの確執を交えてダイナミックに描く長篇小説。英国批評界の重鎮F・R・リーヴィスから、「古典と称される多数の小説などよりも、永久に読み継がれるべき卓越した作品」と絶賛された。小説の魅力が横溢する傑作であり、ヘンリー・ジェイムズ初の長篇小説、60年ぶりの新訳決定版!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

68
ヨーロッパの文化に触れたアメリカの芸術家たちの暮らしぶりと、ローランド、ロデリック、クリスチーナ、メアリという4人の男女の恋愛模様。アメリカ人芸術家(パトロンを含めて)の暮らしぶりや考え方は、作者のヨーロッパでの実体験が元になっている。4人の男女の関係で興味深いのは、ローランドとクリスチーナの関係。誰もが彼女をちやほやする中で、唯一そうではないローランドだからこそクリスチーナは素直になれるのだろう。お似合いに見えるのに互いに恋愛の対象外に置くのは、恋人になったらうまくいかなくなることを分かっているからか。2021/10/14

星落秋風五丈原

35
吝嗇家の父のおかげで、食うに困らぬどころの財産を手に入れたローランド・マレットは、かつて恋心を抱いたこともある従姉セシーリアから「同胞のための貢献なしに生涯を終えてはいけません。」と言われていた。ちょうどその時彼女から、アメリカ・マサチューセッツ州ノーサンプトンの片田舎に住む天才芸術家の卵ロデリック・ハドソンを紹介され、彼をイタリアで大成させようとする。かつて憧れていた女性を恋しながらも、結婚はせず援助することで満足する男性の構図と言えばある婦人の肖像に登場するイザベルとラルフの関係どんぴしゃり。2021/09/20

ケイトKATE

35
アメリカの若き資産家ローランド・マレットは、彫刻家として成功を夢見る若者ロデリック・ハドソンの才能を見込んで、パトロンとなって一緒にローマへ連れて行く。ところが、ローランドの期待とは裏腹に、世間知らずで自分勝手なロデリックは、母国に婚約者メアリ・ガーランドがいるにもかかわらず、絶世の美女クリスチーナ・ライトに魅了されてしまい創作意欲を失ってしまう。それに対し、ローランドはロデリックを彫刻家として大成させようと奔走するが…。本書はヘンリー・ジェイムズ32歳に発表された初期の長編小説である。(続く)2021/07/09

hasegawa noboru

17
「鳩の翼」等買った覚えはあるが、積読。ヘンリー・ジェイムス初読。訳が巧いからか。読み進むにつれて人物の性格、心情、物語の輪郭がはっきり見えてくるという点では分かりやすい19世紀(何しろ日本でいえば西南戦争前刊行)近代小説。絶世の美女との愛に突っ走る若き芸術家ロデリック、その才能を発見し開花させようと庇護し支え続ける高等遊民たる友ローランド。時代がかった大仰なセリフとともに愛の激情、苦悩を生きるロデリックの姿は今となっては嘘っぽいか。副主人公格で視点人物のローランドの方の理知と分別にどちらかといえば感情移入2022/02/25

かつみす

9
裕福で思慮深いローランドは、米国の田舎で若い彫刻家ロデリックに出会い、その才能に惚れ込み、ヨーロッパで修行させようとする。だが奔放なロデリックは、美女クリスチーナの虜になり、堕落していく。彼の婚約者でローランドが密かに思慕するメアリがやってくることで、事態はさらに複雑に。この第1作を書いたときジェイムズは31歳。若書きで荒削りの作品かと想像していたけど、違った。人の心の奥に分け入ろうとする、密度の高い小説が最初から書ける人だったのか。抑制のきいた物語展開だけど、登場人物たちの個性や会話の面白さで読ませる。2022/02/09

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