内容説明
芸術に理解をもつ金持ちの独身青年ローランドが、アメリカ・マサチューセッツ州ノーサンプトンの片田舎に住む天才芸術家の卵ロデリック・ハドソンを見いだし、イタリアで大成させようとする過程を、複雑な恋愛模様、芸術家の苦悩、アメリカとヨーロッパの確執を交えてダイナミックに描く長篇小説。英国批評界の重鎮F・R・リーヴィスから、「古典と称される多数の小説などよりも、永久に読み継がれるべき卓越した作品」と絶賛された。小説の魅力が横溢する傑作であり、ヘンリー・ジェイムズ初の長篇小説、60年ぶりの新訳決定版!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
69
ヨーロッパの文化に触れたアメリカの芸術家たちの暮らしぶりと、ローランド、ロデリック、クリスチーナ、メアリという4人の男女の恋愛模様。アメリカ人芸術家(パトロンを含めて)の暮らしぶりや考え方は、作者のヨーロッパでの実体験が元になっている。4人の男女の関係で興味深いのは、ローランドとクリスチーナの関係。誰もが彼女をちやほやする中で、唯一そうではないローランドだからこそクリスチーナは素直になれるのだろう。お似合いに見えるのに互いに恋愛の対象外に置くのは、恋人になったらうまくいかなくなることを分かっているからか。2021/10/14
星落秋風五丈原
36
吝嗇家の父のおかげで、食うに困らぬどころの財産を手に入れたローランド・マレットは、かつて恋心を抱いたこともある従姉セシーリアから「同胞のための貢献なしに生涯を終えてはいけません。」と言われていた。ちょうどその時彼女から、アメリカ・マサチューセッツ州ノーサンプトンの片田舎に住む天才芸術家の卵ロデリック・ハドソンを紹介され、彼をイタリアで大成させようとする。かつて憧れていた女性を恋しながらも、結婚はせず援助することで満足する男性の構図と言えばある婦人の肖像に登場するイザベルとラルフの関係どんぴしゃり。2021/09/20
ケイトKATE
36
アメリカの若き資産家ローランド・マレットは、彫刻家として成功を夢見る若者ロデリック・ハドソンの才能を見込んで、パトロンとなって一緒にローマへ連れて行く。ところが、ローランドの期待とは裏腹に、世間知らずで自分勝手なロデリックは、母国に婚約者メアリ・ガーランドがいるにもかかわらず、絶世の美女クリスチーナ・ライトに魅了されてしまい創作意欲を失ってしまう。それに対し、ローランドはロデリックを彫刻家として大成させようと奔走するが…。本書はヘンリー・ジェイムズ32歳に発表された初期の長編小説である。(続く)2021/07/09
みつ
29
再読。三十年以上前の初読は、古本屋で見つけた筑摩書房の「世界文学体系」の一冊によるもの(その後「体系」のジェイムズの巻は『ある婦人の肖像』に置き換わったので、今思えば貴重な出会い)。彼の最初の長篇であるがここに収められるだけのことはあって、重厚で緻密な語り口は、後年の諸作に引けを取らない。若い天才的な彫刻家ロデリック、彼の才能を認め援助を申し出る裕福なローランド、ローマで出会う複雑な性格の絶世の美女クリスチーナ、素朴な健全さを持つロデリックの婚約者メアリが主な登場人物。芸術家小説のように始まりつつ➡️2024/06/30
hasegawa noboru
18
「鳩の翼」等買った覚えはあるが、積読。ヘンリー・ジェイムス初読。訳が巧いからか。読み進むにつれて人物の性格、心情、物語の輪郭がはっきり見えてくるという点では分かりやすい19世紀(何しろ日本でいえば西南戦争前刊行)近代小説。絶世の美女との愛に突っ走る若き芸術家ロデリック、その才能を発見し開花させようと庇護し支え続ける高等遊民たる友ローランド。時代がかった大仰なセリフとともに愛の激情、苦悩を生きるロデリックの姿は今となっては嘘っぽいか。副主人公格で視点人物のローランドの方の理知と分別にどちらかといえば感情移入2022/02/25
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