内容説明
▼『井筒俊彦英文著作翻訳コレクション』の第六弾。
▼井筒俊彦がエラノス会議で発表した講演論文12本を初邦訳。
井筒を世界に知らしめた伝説の〈エラノス会議――。老荘思想から禅仏教、華厳、儒教、水墨画、俳句、シャマニズムまで、東洋の思想を縦横無尽に語った全12回の講演録。
『意識と本質』へと連なる思索の跡、待望の邦訳!
目次
1 老荘思想における絶対的なものと完全な人間
2 禅仏教における自己の構造
3 禅仏教における意味と無意味
4 東アジアの芸術と哲学における色彩の排除
5 禅仏教における内部と外部
6 儒教の形而上学におけるリアリティの時間的次元と非時間的次元
7 素朴実在論と儒教哲学
8 『易経』マンダラと儒教の形而上学
9 禅仏教における時間のフィールド構造
10 イマージュとイマージュ不在のあいだ――東アジアの思惟方法
11 存在論的な事象の連鎖――仏教の存在観
12 天空の飛遊――神話創造と形而上学
解説 澤井義次
監訳者あとがき
参考文献
索 引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
思想と言語の起源を辿ると西洋は古代ギリシャに至るが、東洋の起源は複数ある。さらに古代ギリシャを凝視すると、他との交通の痕跡が見られ、一つの起源なる考えが引き起こす過誤(起源争奪の歴史)から脱する可能性も見えてくる。エラノス会議での著者はイスラームを語らず、老荘と形而上学、禅と存在論、易経と解釈学、儒教と実在論を結びつけ、地理を超えた複数の起源とその相互浸透が織りなす「東洋」を西洋知識人メンバーの前で説いた。構造言語学を駆使したその共時的構造化の方法論に、メンバー達は「哲学的意味論」という名を与えたという。2021/02/04
NativeSoon
0
悟りはコトバで説明することが出来るのか? への、人生を賭けた挑戦。 2023/02/23