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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nnpusnsn1945
68
北朝鮮の通史として上手くまとまっている。金日成の誕生から金正日の死去までを描いているが、あくまでも政治史が中心の記述である。パルチザン時代の金日成は偽物ではなく、指揮官としての役目を果たしていたようだ。平井久志氏の著書も信頼しうる物として紹介されているので、併読を推奨する。講談社学術文庫の『金日成』も和田氏が解説しているので良い。2021/08/02
樋口佳之
24
金正日はアメリカとの対話を求めた。その気持ちは切ないほどの熱望/われわれは六者協議を通じて、アメリカとの二重唱を歌いたいと考えている。われわれはのどがかれるまでアメリカと歌を歌う考えである。その成功のために周辺国によるオーケストラの伴奏をお願いしたい。伴奏がすばらしければ、二重唱は一層よくなる。/2018/04/22
skunk_c
22
社会主義国の歴史の泰斗がコンパクトにまとめたもの。金日成体制を理解するため、満州抗日武装闘争から書き起こしているのは本書の金日成・金正日親子による国家建設と、遊撃軍国家から正規軍国家へというその変貌をとらえるためには意味があろう。全体に年表を追っていくような淡々とした記述で、基礎知識を仕入れるには適当だが、大局を観るにはちょっと煩雑な面もあった。金正日に対する評価が微妙で、その出生伝説など批判する割には、どこか思い入れがあるように思える。外務省や横田めぐみ生存説に対しては辛辣なほど批判的なのが著者らしい。2017/08/10
崩紫サロメ
19
抗日期から金正日死去までを扱った通史。金日成の両親を含め、多くのキリスト教徒と共産党員が結束した抗日時代、やがてキリスト教を排除し、共産党員の中でも延安派やモスクワ派を粛清し、満洲派と甲山派が党・政府・軍を一元的に支配するようになる。「主体思想」を前面に出して、金日成を唯一の司令官とする「遊撃隊国家」の成立、そして金正日時代には遊撃隊国家は「劇場国家」として設計と演出を必要とした。2021/01/21
coolflat
15
22頁。朝鮮は、1945年8月15日、日本が降伏した結果として、日本帝国主義の統治から解放された。しかし、この日の米国の提案をソ連がただちに受け入れた結果、朝鮮半島は38度線を境に南は米軍が、北はソ連軍が占領することになった。日露戦争にいたる過程で日本が、日本とロシアの間で朝鮮半島における勢力圏を南北に分けることを提起したことがあり、また39度線以北を中立地帯にすることをロシアが提案したこともあった。そのような考えが、朝鮮を日本の支配から独立させるにあたって、米国とソ連によって復活されたのである。2018/04/19