内容説明
「立川談志」の落語に魅せられた杉崎は、勤めていた会社を辞め、落語家を目指した。異例ともいえる七年の前座修業ののち、なんとか二つ目になり、「山水亭錦之助」と命名されるも、食えない日々が続いていた。「人生の選択を誤ったな」と嗤う大学時代の友人、OBらを後目に、がむしゃらに高座へと上がり続ける錦之助に、ある日、末期ガン患者の前での落語を、との打診があり……。慶應義塾大学出身として話題の現役落語家が、自らの体験を基に綴る、真打ち目指して奮闘する男の、笑いと涙の、心に沁みる人情物語。文庫オリジナル。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nazolove
18
ながーいこと師匠の本を読んできたせいか、あ、ここ言ってたわーとかここ経験であったわーなんて改めて懐かしくなった作品であった。 思えばちょっと短気なとこもある自分がのほほんと生きれるようになってるのも師匠の落語理論によってのほほんとなれてるんじゃないかなーねんて思うところもあった。 さらにまた新しい師匠のありがたい言葉も書いてある(自分が勝手に思ってるだけかもしれないけど)ので落語ファンの皆さんも談慶師匠のファンの入り口に入るにはこの小説からでもいいんじゃないかな、なんて思った。 2021/06/02
ぽけっとももんが
12
おそらく落語家である著者の自伝的な小説なのだろう。どうやら落語家という仕事は食いっぱぐれがないらしい。お笑い界の公務員みたいなものだと作中にでてくる。確かにこの田舎でもイベントがあるし司会なんかもうまそうだ。とはいえなかなか食べていくためには苛烈な環境での仕事もあるようで。ただその辛い思いやその中で出会った人たちとの付き合いから得たものが中学校での落語会で実を結ぶラストはとてもよかった。一番最後の手紙のエピソードは蛇足だったかなー。あー落語聞きに行きたいなー。コロナ禍でちょっと我慢してます。2022/12/11
Iwata Kentaro
5
献本御礼。老眼で文庫本がつらくなっていたけど老眼鏡買ったのでハードル下がった。あと、ここしばらく現代の小説読めてなかったけど、ようやく読めた。落語好きはもちろん、生き方が下手な人への応援歌で随分励まされました。まさに落語は「業の肯定」です。ちなみに医療も「人間の業の肯定」だと個人的には思ってます。2022/08/06
やまねっと
4
図書館本。感想としては普通の小説といったところか。さすが落語家が書いた本だけあって、登場人物の心の動きなどはリアルでそんな考え方するだなって得心した。 でも、二つ目という中途半端な位置でやはり真打昇進近いところの話の方が盛り上がったと思うが、どうだろうか。前座7年かかったとあるけど、その長さに共感は抱けなかった。 続きもので続編が出るなら読んでみたい気もするが、この本もあまり売れそうにないから続編は無いかな。 ラストの手紙もあざとい。でも談慶の人の良さも出ていると思いました。2021/07/26
にしはじめ
3
いい話でした2021/08/31