内容説明
晶子は私が感じる恋を歌にし、シャネルは私の着たい服をモードにした。それによって二人は女の近代をきりひらいた。二人の力業に共通するのは、<私>の表現者であること。<私>は来るべき世紀の風をとらえ、広く大衆の感性を先どりした。男に依存せずに働きつづけ、恋する女でありつづけた二人は21世紀に生きる私たちにその血を伝えている。
目次
序章 二つの名
第一章 恋する女
1 『明星』というメディア
2 花咲く乙女たち――シニフィアンの戯れ
3 相聞のスタイル――愛の遊戯形式
4 古語の衣裳――「君」と「我」
5 恋する身体――性の解放
6 わが愛欲は限り無し――貞操論争
7 シャネルのフェミニスト批評
第二章 一九〇〇年 パリ―東京
1 パリのみだれ髪――アール・ヌーヴォー万博
2 自転車にのる少女――二〇世紀のヒロイン
3 鉄幹の巴里――遊学の記
4 晶子の巴里――最後のベルエポック
第三章 はたらく女
1 モード革命――性からの解放
2 パリは踊る――「明星舞踏会」まで
3 シャネルの様式――黒の越境
4 「はたらく女」シャネル――勤労のスーツ
5 「はたらく女」晶子――<母性保護論争>を糾す
終章 赤と黒
注
引用・参照文献
あとがき